2013年05月14日
ティーレマン&ウィーン・フィルのR.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」/交響的幻想曲「影のない女」
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ティーレマンによるR・シュトラウスと言えば、同じくウィーン・フィルを指揮したアルプス交響曲の名演が記憶に新しいところだ。
その壮麗なスケールと美しさは、極上の高音質録音(既にシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤として発売)も相俟って、素晴らしい名演に仕上がっている。
本盤はティーレマンにとって、アルプス交響曲に続く2枚目のR・シュトラウス管弦楽曲集のアルバムということになる。
交響詩「英雄の生涯」と言えば、どうしてもカラヤンによる名演が念頭に浮かぶ。
スタジオ録音を3度行い、さらに数多くのライヴ録音を遺したカラヤンによる同曲の演奏は、いずれも至高の超名演であり、今もなお強烈な存在感を発揮しているとさえ言える。
このようなカラヤンによる強烈無比な超名演を超える演奏を成し遂げるというのは、至難の業とも考えられるところだ。
まして、同じく独墺系の指揮者であるティーレマンにとっては、カラヤンによる超名演の残像は相当に強いものであったはずだ。
しかしながらティーレマンは、カラヤンによる超名演の呪縛を見事に解き放ち、ウィーン・フィルの美しい音色を存分に生かすことによって、カラヤンによる各種の超名演(カラヤンによる演奏はいずれもベルリン・フィルとのもの)とは違った情感豊かな名演に仕立て上げるのに成功している点を高く評価したい。
カラヤンは、同曲の主人公である英雄と同化したような豪演を披露したが、ティーレマンは一歩引いて、あくまでも同曲の英雄を客観的に捉えた演奏を繰り広げていると言えよう。
それでいて、前述のようにどこをとっても情感の豊かさに満ち溢れており、R・シュトラウスが同曲に盛り込んだ美しい旋律の数々を徹底的に歌い抜くことに腐心しているように思われる。
また、強靭さにおいても不足はないが、どこをとっても格調の高さが支配しており、スケールはきわめて雄大である。
このような堂々たる名演奏を聴いていると、あらためてティーレマンが、ドイツの音楽界を牽引する指揮者として将来を嘱望されていることがよく理解できるところだ。
近年では指揮者に軸足を移したライナー・ホーネックによる美しさの極みとも言うべきヴァイオリン独奏を聴くことができるのも本名演の大きなアドバンテージである。
併録の交響的幻想曲「影のない女」は、R・シュトラウスが歌劇「影のない女」から有名曲を編曲して纏め上げた作品であるが、オペラを得意とするティーレマンならではの演出巧者ぶりが発揮された素晴らしい名演であると評価したい。
録音は、従来盤でも比較的満足できる高音質であったが、今般のSHM−CD化によって音質がさらに鮮明になるとともに、音場が若干にではあるが幅広くなったように感じられる。
ティーレマンによる素晴らしい名演を、SHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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