2013年05月23日
ルービンシュタイン&ラインスドルフのブラームス:ピアノ協奏曲第1番
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ルービンシュタインによるブラームスのピアノ協奏曲第1番の演奏としては、本盤以外にもライナー&シカゴ交響楽団をバックとした1954年盤とメータ&イスラエル・フィルをバックとした1976年盤が存在している。
それだけルービンシュタインが同曲に私淑していたとも言えるが、一般的に最も名演の誉れ高いのは1976年盤ということになるのではないか。
当該演奏は、最晩年を迎えたルービンシュタイン(89歳)の大人(たいじん)ならではの滋味あふれる至芸を味わうことが可能であり、メータ&イスラエル・フィルの好サポートも相俟って、スケール雄大な名演に仕上がっていた。
本演奏は、その12年前のスタジオ録音ということになるが、この時点でも既にルービンシュタインは77歳となっており、1976年盤にも肉薄する素晴らしい名演を展開していると高く評価したい。
少なくとも、技量においては1976年盤よりも衰えが見られない分だけ上と言えるところであり、本演奏でもとても人間業とは思えないような超絶的な技量を披露してくれている。
もっとも、超絶的な技量であれば、同時代に活躍したホロヴィッツも同様であるが、ホロヴィッツの場合は、自らの感性の赴くままにピアノを弾いていた側面があり、超絶的な技量がそのまま芸術たり得た稀有のピアニストであったと言えるだろう。
これに対して、ルービンシュタインは、私見ではあるが、音楽の本質への希求が第一であり、技量は二の次と考えていたのではあるまいか。
それ故に、1976年盤において、多少技量が衰えても至高の名演を成し遂げることが可能であったと考えられるからである。
本演奏においても、技量一辺倒にはいささかも陥らず、強靭な打鍵から繊細な抒情に至るまで表現の幅は桁外れに幅広く、青雲の志を描いたとされる同曲に込められた若きブラームスの心の葛藤を、ルービンシュタインは豊かな表現力を駆使して、情感豊かに描き出しているのが素晴らしい。
同曲は、ピアノ演奏付きの交響曲と称されるだけあって、オーケストラ演奏が薄味だとどうにもならないが、ラインスドルフ&ボストン交響楽団は、いかにもドイツ風の重厚な演奏を展開しており、ルービンシュタインの至高のピアノとの相性も抜群である。
そして、本盤で素晴らしいのはXRCDによる超高音質録音である。
XRCD化によって、ルービンシュタインのピアノタッチが鮮明に再現されるなど、今から50年近くも前の録音とは思えないような鮮明な音質に生まれ変わっており、本盤の価値を高めるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
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