2013年05月24日
ライナー&シカゴ響のチャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
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本盤は、全盛時代のライナー&シカゴ交響楽団がいかに凄い演奏を繰り広げていたのかを窺い知ることができるCDである。
それは何よりも、XRCDによる鮮明な高音質によるところが大きい。
本演奏は1957年のスタジオ録音であるが、今から約55年も前の録音とは到底思えないような鮮度の高い音質に生まれ変わったのは殆ど驚異的であり、あらためてXRCDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。
これを聴くと、当時のライナー&シカゴ交響楽団は、卓越した技量もさることながら、とりわけ弦楽合奏の音色に独特の艶やかさがあることがよくわかるところであり、単なる技量一辺倒の演奏を行っていたのではないことが理解できるところだ。
もちろん、技量には卓越したものがあり、鉄壁のアンサンブル、ブラスセクションのブリリアントな響き、唖然とするようなテクニックを有した木管楽器群など、当時のシカゴ交響楽団の演奏の凄さを味わうことが可能である。
演奏内容も、素晴らしい名演と高く評価したい。
本演奏でのライナーは、チャイコフスキー特有のメランコリックな抒情にいささかも耽溺することなく、終始速めのテンポで引き締まった演奏を心掛けているように思われる。
この演奏を聴いて真っ先に念頭に浮かんだのが、トスカニーニ&NBC交響楽団による演奏(1947年)だ。
本演奏では、さすがにトスカニーニの演奏のような即物的な表現に徹し切れているとは言い難いが、それでも純音楽的に徹したストレートな表現は、まさにトスカニーニの演奏の系列に連なる演奏と言っても過言ではあるまい。
そして、とりわけ金管楽器やティンパニなどによる最強奏は、壮絶ささえ感じさせるほどの圧巻の迫力を誇っている。
もっとも、こうした壮絶な演奏に適度の潤いと温もりを与えているのが、前述のような当時のシカゴ交響楽団が有していた弦楽合奏の艶やかな音色であり、その意味では、本演奏は、ライナーとシカゴ交響楽団の黄金コンビだけに可能な名演とも言えるだろう。
いずれにしても本盤は、指揮者、オーケストラ、演奏内容そして録音の4拍子が高水準で揃った名CDと高く評価したい。
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