2013年06月03日
カム&ラハティ響のシベリウス:テンペスト、吟遊詩人、タピオラ
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2011年秋よりラハティ交響楽団の新しい芸術監督に就任したオッコ・カムが、待望のシベリウスの管弦楽曲集の録音を開始した。
第1弾は、劇付随音楽「テンペスト」や交響詩「タピオラ」を軸とした管弦楽曲集であるが、交響曲が含まれるのかどうかなど今後のシリーズの行方には興味が尽きないところだ。
いずれにしても、今後のこのシリーズの継続、そして充実をこの場を借りて祈念しておきたい。
オッコ・カムは若手指揮者の登竜門と言われたカラヤンコンクールで優勝(1969年)し、カラヤンによるシベリウスの交響曲全集を録音(DG)する際に、第1番〜第3番の演奏を任されたという輝かしい経歴を有している。
その後、ヘルシンキ・フィルを率いて1982年に来日(当時35歳)を果たしたが、その際のライヴ録音もTDKより発売されている。
その演奏は、北欧の新世代を代表するような颯爽としたものであったが、そうした芸風は、若干の円熟味を加えつつも本演奏においてもなお健在と言えるだろう。
要所においては強靭な迫力も有しているものの、演奏全体としてはいささかも暑苦しくない、北欧の大自然を彷彿とさせるような清涼感に満ち溢れており、このような演奏を聴いていると、これぞ本物のシベリウスという気がしてくるから実に不思議だ。
全体としては爽快でフレッシュな息吹を感じさせるような演奏と言えるが、それでいてスコアに記された音符のうわべだけをなぞっただけの薄味な演奏にはいささかも陥っておらず、どこをとっても北欧の雄大な大自然を彷彿とさせるような豊かな情感に満ち溢れているのが素晴らしい。
劇付随音楽「テンペスト」におけるドラマティックで聴かせどころのツボを心得た演出巧者ぶりも心憎いばかりであり、あらためてオッコ・カムの類稀なる才能を感じさせられたところだ。
いずれにしても、本盤の演奏は、今や北欧を代表する円熟の大指揮者となりつつあるオッコ・カムによる清新さを感じさせる名演であり、今後のシリーズの続編への大きな期待を持てる名演とも言えるだろう。
そして、本盤で素晴らしいのは、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。
特に、交響詩「タピオラ」や交響詩「吟遊詩人」などにおける弦楽器の最弱音の再現には、かかる臨場感溢れる高音質は大きなアドバンテージであり、本盤の価値を高めるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
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