2013年06月07日

スヴェトラーノフ&ロシア(ソヴィエト)国立響のショスタコーヴィチ:交響曲第10番/チャイコフスキー:付随音楽「雪娘」組曲より「メロドラマ」 他


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スヴェトラーノフの若き日の圧倒的な名演の登場だ。

いまだショスタコーヴィチが存命の時代であり、なおかつ旧ソヴィエト連邦が存在していた時代。

しかも、東西冷戦下で、旧ソヴィエト軍を中核としたワルシャワ条約機構軍がチェコの民主化を阻止するために、チェコ全土を占領化に置くといういわゆる「プラハの春」が勃発した日の翌日の演奏である。

当時の西側諸国からすれば、こうした東側諸国、とりわけ旧ソヴィエト連邦による軍事行動は許し難い暴挙であり、旧ソヴィエト連邦への敵対意識が否応なしに高まっていたことは想像に難くないところだ。

そのような中で、旧ソヴィエト連邦の指揮者であるスヴェトラーノフとソヴィエト国立交響楽団(現ロシア国立交響楽団)が、当時、旧ソヴィエト連邦政府に忠実な作曲家であると西側諸国では誤解されていたショスタコーヴィチの交響曲第10番を、ロンドンで演奏するということは、当時の西側諸国の旧ソヴィエト連邦への悪感情を考えると、ある意味では実に無謀な行為であったとも言える。

実際に、コンサートは抗議の声で騒然となり一時は演奏を中断せざるを得なくなったとのことであり、本盤においても冒頭の何小節かが何人かの聴衆の抗議の声で聴き取れなくなるなど、当時の厳しい状況が生々しく記録されている。

しかしながら、そうした厳しい状況の中でもめげることなく、最後まで演奏を行ったスヴェトラーノフ、そしてソヴィエト国立交響楽団の不屈の精神力にまずは拍手を送るべきであろう。

そして演奏も素晴らしい。

さすがに、本演奏には、後年のスヴェトラーノフの演奏のようなスケールの大きさは存在していないが、前述のような逆境を演奏に最大限に生かしたとも言えるような、圧倒的な生命力や強靭な気迫が演奏全体に漲っている。

ショスタコーヴィチと同時代を生き、そして例えて言えば現在の北朝鮮のようなとんでもない共産党独裁国家であった旧ソヴィエト連邦下に生きていたスヴェトラーノフとしても、同曲に込められた独裁者スターリンへの怒り、粛清への恐怖と粛清された者への鎮魂などのあらゆるメッセージに深く共感していたはずであり、そうしたものを十分に汲み取った彫りの深い凄みのある表現が、我々聴き手の肺腑を打つのに十分な迫力を誇っていると考えられるところだ。

もちろん、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによる超名演(1976年)ほどの深みには達しているとは言い難いが、39歳の若きスヴェトラーノフが、前述のような逆境を乗り越えて、これだけの凄みのある豪演を成し遂げたことを高く評価したい。

演奏終了後の圧倒的な熱狂は、冒頭の抗議の罵声を含めて考えると、いかに本演奏が当日の聴衆に深い感銘を与えたのかがよく理解できるところだ。

併録のチャイコフスキーやR・コルサコフの楽曲も、スヴェトラーノフならではの強靭な迫力とメランコリックな抒情が相俟った素晴らしい名演だ。

音質は、1960年代のライヴ録音、しかもモノラル録音ということもあって、音場が今一つ広がらない(特に、交響曲第10番の第1楽章)のが残念ではあるが、アンビエント・マスタリングによってかなり聴きやすい音質になっている点を評価したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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