2013年06月13日

朝比奈+大フィル 蔵出し!管弦楽名曲集


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凄い演奏だ。

リャードフの八つのロシア民謡より「愁いの歌」を除くと、極めてポピュラーな名曲ばかりが収められているが、朝比奈は、ポピュラーな名曲であっても、楽曲に合わせて自らの芸風を変化させるようなことはしない。

聴かせどころのツボを心得た演奏など薬にしたくもなく、それこそ、朝比奈が得意とするブルックナーやベートーヴェン、ブラームスなどの交響曲に接する場合と同様の悠揚迫らぬアプローチで演奏を行っていると言えるだろう。

したがって、演奏のスケールは極大であり、音楽そのものの大きさがこれらのいわゆる小品にはそもそもハイスペックに過ぎるとさえ言えるだろう。

それ故、聴き手によっては、違和感を感じるであろうし、鶏を割くのに牛刀を持ってとの諺にも例える人さえいるのではないかとも考えられるところだ。

しかしながら、筆者としては、これら小品についても、いささかの手抜きをせずに、自らの芸風を如何なく披露して、まさに真剣勝負で壮大な演奏を繰り広げた朝比奈に対して大きな拍手を送りたい。

いや、むしろ、軽妙浮薄な演奏があまた氾濫している嘆かわしい状況にある中で、朝比奈による重厚な演奏は非常に貴重な存在と言えるのではないだろうか。

冒頭のチャイコフスキーの弦楽セレナードからして、その悠揚迫らぬゆったりとしたテンポ設定と、構えの大きい音楽に圧倒されてしまう。

その演奏の随所から発散されるエネルギーの凄まじさにはただただ圧倒されるのみであり、とかく甘い旋律の美しさに耳を奪われがちな同曲の真の魅力を抉り出すことに成功した稀有の名演と高く評価したい。

R・コルサコフの序曲「ロシアの復活祭」も、他の指揮者による演奏とは一味もふた味も異なる。

管弦楽法の大家として知られるR・コルサコフの作品だけに、そうしたオーケストレーションの見事さに関心が行ってしまいがちな同曲であるが、朝比奈は、重厚かつ彫りの深い表現で、同曲の知られざる魅力を描出するのに成功していると言えるだろう。

随所に付加されたテンポの思い切った振幅も実に効果的だ。

リャードフの八つのロシア民謡より「愁いの歌」は、筆者としても初めて聴く楽曲であり、他の演奏との比較はできないが、それでも本演奏は、朝比奈だけに可能な深沈たる奥行きを感じさせる重厚な名演と言えるのではないか。

ウェーバーの「オイリアンテ」序曲も素晴らしい名演であるが、更に凄いのは、ヨハン・シュトラウス2世の3曲。

とりわけ、皇帝円舞曲の雄渾なスケールによる演奏は、もはやワルツというジャンルを超えた一大交響曲にも比肩し得るだけの崇高さを湛えているとさえ言えるところであり、朝比奈の偉大さをあらためて認識させられたところだ。

いずれにしても、本盤の各演奏は、朝比奈のスケール雄大な、そして彫りの深い芸術を存分に味わうことができる圧倒的な名演と高く評価したい。

音質は、1970年代半ばから1980年代前半にかけてのライヴ録音であるが、モノラル録音であるウェーバーの「オイリアンテ」序曲を除けば十分に良好な音質と言えるところであり、朝比奈の偉大な芸術を良好な音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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classicalmusic at 21:35コメント(0)トラックバック(0)朝比奈 隆  

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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