2013年06月18日

アイヒホルン&リンツ・ブルックナー管のブルックナー:交響曲選集


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ドイツの名指揮者であったアイヒホルンであるが、本盤に収められたブルックナーの交響曲選集は、その最良の遺産と言っても過言ではあるまい。

第1番、第3番及び第4番の録音を果たすことなくこの世を去ってしまったのは大変残念なことであるが、第2番についてはキャラガンによる新しい校訂版を用いたり、第9番については、通例の第3楽章までの演奏に加えて、1992年に刊行された未完の第4楽章の復元版を世界に先駆けて録音するなど、ブルックナーの研究学的にも極めて貴重な選集ということができるのではないだろうか。

こうしたブルックナーの交響曲の演奏に際しては避けて通ることができない版の問題への強い拘りは、アイヒホルンによる長年に渡って地道に積み重ねてきたブルックナー研究の成果であるとともに、ブルックナーの交響曲に対して深い愛着を抱いていた証左とも言えるところだ。

演奏も素晴らしい。

1990年代に入って、神々しいまでの超名演を繰り広げたヴァントや朝比奈などの演奏ほどの高峰に聳え立ったものとは言い難いが、それでも演奏の持つ懐の深さやいぶし銀の輝きさえ感じさせる重厚さは、ブルックナーの交響曲演奏の理想像の具現化と言っても過言ではあるまい。

6曲の演奏は、いずれ劣らぬ名演であると評価したいが、第5番や第7番〜第9番の4曲については、前述のヴァントや朝比奈、そして他の海千山千の大指揮者がそれぞれ素晴らしい名演の数々を成し遂げていることから、アイヒホルンによる本選集の演奏をベストの名演とするのはいささか困難と言わざるを得ないところだ。

これに対して、第2番及び第6番については、それぞれの楽曲の演奏史上でもトップの座を争う名演に仕上がっていると言えるのではないだろうか。

特に圧倒的なのは第2番の演奏であり、演奏全体の堅固な造型を堅持しつつ、スケールは雄大であり、ブラスセクションの朗々たる響かせ方もいささかも無機的に陥ることなく、重厚で剛毅な中にも豊かな情感を失うことがないのが素晴らしい。

彫りの深さにも尋常ならざるものがあり、ブルックナーの初期の交響曲であるにもかかわらず、これほどの奥行きの深さ、そしてスケールの雄大さを感じさせる演奏は、他にも類例を見ないと言ってもいいだろう。

同曲の名演には、ヨッフムやジュリーニなどによるものが存在しているが、スケールの雄大さや懐の深さと言った点においては、アイヒホルンによる本演奏の方を随一の名演に掲げるべきではないかと考えているところだ。

第6番も素晴らしい。

同曲にはヨッフムやヴァントによる名演が成し遂げられているが、ヨッフムのロマンティシズム溢れる演奏と、ヴァントによる重厚かつ剛毅な演奏の中間に位置する演奏とも言えるところであり、剛柔のバランスがとれた演奏という意味では、随一に掲げられる名演と言ってもいいのではないだろうか。

アイヒホルンの確かな統率の下、渾身の名演奏を繰り広げたリンツ・ブルックナー管弦楽団にも大きな拍手を送りたい。

そして、本選集の素晴らしさは、リマスタリングによって大幅な高音質化が図られたことであり、素晴らしい音質に生まれ変わった。

加えて、100ページ以上にも及ぶ詳細で読み応えのある解説書が添付されたのも見事であり、アイヒホルンによる名演奏も相俟って、全体として至高の名選集と高く評価したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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