2013年06月22日
アルヘンタ/エスパーニャ
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本盤は、スペイン風の異国情緒ここに極まれりと言った趣きの名CDと言えるのではないだろうか。
44歳という若さで亡くなったアルヘンタであるが、アルヘンタが遺した数少ない録音の中でも最良の遺産であると言っても過言ではあるまい。
エスパーニャという表題に相応しく、スペインをテーマにした管弦楽の小品の組み合わせであるが、このようなスペインをテーマとした管弦楽小品を組み合わせるというカップリングは、まさにアルヘンタならではのものと言ってもいいだろう。
冒頭のシャブリエの狂詩曲「スペイン」からして、他のどの指揮者よりも濃厚なスペイン風の情感が演奏全体に込められている。
いや、他のどの指揮者が束になってもかなわないような濃厚なスペイン風の情緒が込められた至高の超名演であるとも言うべきであり、まさに、本演奏こそは、同曲演奏の理想像の具現化と言ってもいいのではないかと考える。
R・コルサコフのスペイン奇想曲は、ロシア音楽であるだけに、むしろロシア風の抒情を際立たせた演奏も一部に散見されるところであるが、アルヘンタによる本演奏は、それらの演奏とは一線を画する、同曲の随所に散りばめられたスペイン風の旋律を、それこそ異国情緒満点に歌い抜いたものであり、その意味では、他の指揮者による演奏とは一味もふた味も異なった魅力を有する名演と言えるのではないだろうか。
同曲は、管弦楽法の大家とも言われたR・コルサコフによる楽曲であるだけに、オーケストレーションの華麗さや、更には、場面の変転なども随所に施されているが、アルヘンタはこうした同曲の持つ魅力を最大限に引き出すのに成功しているとも言えるところであり、まさに、本演奏は、アルヘンタの個性や資質が最大限に発揮された素晴らしい名演と言えるだろう。
グラナドスのアンダルーサ(スペイン舞曲第5番)やモシュコフスキのスペイン舞曲第1巻も、いかにも「スペイン」を感じさせる見事な名演と評価したい。
また、ドビュッシーの管弦楽のための映像が、これまた素晴らしい名演だ。
もちろん、クリュイタンスやアンセルメ、近年のデュトワのような、フランス風のエスプリに満ち溢れた洒落た味わいで勝負するような演奏ではなく、むしろ、同曲のスペイン風の情緒を全面に出した演奏ということができるが、そのむせ返るようなスペイン風の情感には抗し難い魅力が満ち溢れており、同曲の根源的な美しさを見事に描出することに成功した名演に仕上がっていると評価するのにいささかも躊躇するものではない。
音質は、英デッカによる名録音ではあるものの、1957年のスタジオ録音であり、従来CD盤では今一つ冴えない音質であった。
数年前にはSHM−CD盤が発売され、かなりの音質改善効果が見られたものの、未だ万全とは言い難いものがある。
このような中で、今般、ついに待望のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤が発売されるに及んで驚いた。
音質の鮮明さ、音場の幅広さなど、すべてにおいて一級品の仕上がりであり、あらためてシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の凄さを認識した次第である。
いずれにしても、アルヘンタによる素晴らしい名演を、現在望み得る最高の高音質であるシングルレイヤーによるSACD&SHM−CDで味わうことができるのを大いに喜びたい。
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