2013年06月25日
スヴェトラーノフ&スウェーデン放送響のドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」/スラヴ舞曲第3番
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凄まじい演奏だ。
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」に、チェコの民族色豊かな抒情性などを期待する聴き手には、全くおすすめできない演奏であるとさえ言える。
いや、それどころか、殆どの指揮者がこのような演奏をすること自体が許されない雰囲気があるが、怪演という名の個性的な名演を数多く成し遂げてきた大指揮者スヴェトラーノフだけに許される演奏であると言えるのかもしれない。
しかしながら、それにしても凄い。
もちろん、スヴェトラーノフの指揮であり、しかも、ロシア国立交響楽団との豪演を聴いているだけに、聴く前から十分に覚悟して本演奏を聴いたのだが、冒頭から完全に圧倒されてしまった。
ブラスセクションの咆哮のとてつもないド迫力、地響きがするようなティンパニの凄まじいまでの強靭さ、うなりをあげる低弦の迫力など、よくぞここまで思い切った演奏をさせるものだとほとほと感心してしまった。
テンポの振幅は激しく、アッチェレランドなども随所に施してはいるが、演奏全体のスケールはこれ以上は考えられないような雄大なもの。
同曲は、新世界であるアメリカ合衆国からのお土産便りのような意味合いを有しているが、スヴェトラーノフによる本演奏は、あたかもロシアの悠久の広大な大地を思わせるものであり、同曲の演奏としては他のどの指揮者の演奏よりも濃厚で特異な性格を有するもの。
まさに尋常ならざる演奏とさえ言えるのではないだろうか。
とりわけ、終楽章終結部の強烈な最強奏という超個性的な解釈には、完全にノックアウトされてしまった。
しかしながら、聴き終えた後の充足感については、これまた尋常ならざるものがあり、これだけ聴き手を満足させてくれれば文句は言えまい。
もちろん、前述のように、チェコの民族色豊かな抒情性を同曲に希求する聴き手には全くおすすめできないが、同曲を何度も繰り返し聴き込んだ聴き手には、むしろ新鮮ささえ感じさせるとも言えるところであり、聴き終えた後の充足感などを総合的に考慮すれば、筆者としては、本演奏をスヴェトラーノフならではの超個性的な名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。
併録のスラヴ舞曲第3番も、交響曲第9番「新世界より」と同様に濃厚の極みと言うべき超個性的な名演だ。
これまた、スヴェトラーノフが演奏すると、チェコの舞曲というよりはロシアの舞曲になっているとも言えるが、演奏全体の濃密さや聴き終えた後の充足感は、他のどの指揮者による同曲の演奏にもいささかも劣っていない。
スウェーデン放送交響楽団も、こうしたスヴェトラーノフの個性的な指揮に、アンサンブルを殆ど乱すことなくしっかりとついていっており、見事な名演奏を繰り広げている点についても高く評価したい。
音質も素晴らしく、今から約30年前のライヴ録音ではあるが、現在でも十分に通用する素晴らしい音質であり、スヴェトラーノフ&スウェーデン放送交響楽団による同曲の超個性的な名演が鮮明に再現されるのが見事である。
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