2013年06月25日
スヴェトラーノフ&スウェーデン放送響のシューベルト:交響曲第8番「未完成」,第9番「ザ・グレート」
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同時発売のドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」が、あまりにもスヴェトラーノフ節全開の超個性的な演奏であったことから、本盤に収められたシューベルトの交響曲第8番「未完成」、そして、第9番「ザ・グレート」の演奏についても、鑑賞する前は相当に身構えて臨んだところであるが、これが意外にもまともな演奏なのだ。
そのように評しては、大指揮者であるスヴェトラーノフに対していささか失礼と言えるのかもしれないが、本演奏を、指揮者の名を伏して聴いたとしても、スヴェトラーノフの指揮と当てる人は殆どいないのではないだろうか。
もちろん、第9番「ザ・グレート」の第1楽章終結部などに、スヴェトラーノフならではの個性を感じることも可能ではあるが、それも許容されるレベルでの解釈であり、両曲ともに、大家の指揮による名演奏と言えるだろう。
まさに、一昔前の独墺系の大指揮者による演奏に限りなく近い性格を有していると言っても過言ではあるまい。
これだけの立派な演奏をすることができる指揮者であるからこそ、スヴェトラーノフは真に偉大な存在であり、多くの音楽ファンの崇敬を集められる存在なのであると考えられるところだ。
シューベルトの交響曲第8番「未完成」は、LP時代にも録音を遺しているようであるが、筆者は未聴。
したがって、筆者としては、初めて聴くスヴェトラーノフのシューベルトであるが、深沈とした味わいの中にも、シューベルトの楽曲の生命線とも言うべき寂寥感溢れる抒情に満ち溢れており、いい意味で剛柔のバランスのとれた見事な名演であると高く評価したい。
他方、交響曲第9番「ザ・グレート」は、スヴェトラーノフによる唯一の録音ということになるが、ゆったりとしたテンポによるスケールの雄大な音楽の構えの中で、同曲特有の美しい旋律の数々を格調高く歌い上げ、これ以上は求め得ないような気宇壮大な超名演を成し遂げるのに成功している。
同曲は、演奏自体がなかなかに困難な楽曲であると言えるが、スヴェトラーノフによる名演奏は十分に説得力があるものと言えるところであり、スヴェトラーノフが、ロシア系の音楽のみのスペシャリストにとどまらず、クラシック音楽の王道とも言うべき独墺系の音楽にも見事な名演奏を聴かせることができる大指揮者であったことがよく理解できるところだ。
大指揮者スヴェトラーノフの統率の下、スウェーデン放送交響楽団も最高のパフォーマンスを発揮していると言えるところであり、交響曲第9番「ザ・グレート」の演奏終了後、指揮者を讃えるファンファーレが鳴り響くという点にも、スヴェトラーノフとスウェーデン放送交響楽団の抜群の相性の良さを感じることが可能だ。
音質も素晴らしく、今から約20年以上前のライヴ録音ではあるが、現在でも十分に通用する素晴らしい音質であり、スヴェトラーノフ&スウェーデン放送交響楽団による素晴らしい名演が鮮明に再現されるのが見事である。
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