2013年06月28日

ザンデルリンク&シュターツカペレ・ドレスデン1973年10月31日来日公演ライヴ


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本盤に収められたモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」、チャイコフスキーの交響曲第4番、そしてウェーバーの歌劇「オベロン」序曲は、ザンデルリンクが1973年にシュターツカペレ・ドレスデンを率いて来日した際の記念碑的な名演奏である。

先ず、モーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」は、ザンデルリンクとしては極めて珍しいレパートリーと言えるだろう。

そもそも、ザンデルリンクによるモーツァルトの交響曲演奏の録音は、先般発売された交響曲第39番などを除いて殆ど遺されておらず、必ずしも得意のレパートリーではなかったと言えるのかもしれない。

しかしながら、本盤の演奏は、そのようなことをいささかも感じさせないような素晴らしい名演に仕上がっていると評価したい。

近年流行の古楽器奏法やピリオド楽器を使用した軽妙な演奏とは正反対の、いわゆる旧スタイルの演奏と言えるが、シンフォニックにしてスケール雄大な演奏は、いかにもドイツ人指揮者ならではの面目躍如たるものがあると言えるだろう。

次いで、チャイコフスキーの交響曲第4番であるが、ザンデルリンクは、チャイコフスキーの交響曲を得意のレパートリーとし、歴史的な名演の数々を成し遂げたムラヴィンスキーに師事していたわりには、チャイコフスキーの交響曲の録音を必ずしも数多く行っているわけではない。

そのような中で、ザンデルリンクは交響曲第4番だけは得意としているようであり、本演奏の他にも、レニングラード・フィルとのスタジオ録音(1956年)、後期3大交響曲集の一環としてベルリン交響楽団とともに行ったスタジオ録音(1979年)、そしてウィーン交響楽団とのライヴ録音(1998年)が遺されているところである。

いずれも、ムラヴィンスキーのように即物的とも言うべき純音楽的な引き締まった演奏ではないが、演奏全体の堅固な造型美などが光った、いかにもドイツ人指揮者ならではの重厚な名演に仕上がっていた。

同じく独墺系の指揮者であるカラヤンがチャイコフスキーの交響曲の数々の名演を成し遂げているが、カラヤンによる豪華絢爛な演奏とはあらゆる意味で対照的な質実剛健たる演奏と言っても過言ではあるまい。

本演奏は、前述の1979年のスタジオ録音の6年前の演奏ではあるが、基本的なアプローチ自体は、殆ど変りがなく、どちらかと言うと、一切の虚飾を排した地道さを身上としている。

しかしながら、本演奏には実演ならではの畳み掛けていくような気迫や強靭な生命力が演奏全体に漲っており、演奏の持つ根源的な迫力においては、1998年のウィーン交響楽団との演奏とほぼ同格であり、1979年のスタジオ録音を大きく上回っていると言っても過言ではあるまい。

加えて、シュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀の味わい深い音色が演奏全体に独特の潤いと温もりを付加させており、オーケストラ演奏の魅力においては、1998年のウィーン交響楽団との演奏をはるかに凌駕している。

いずれにしても、本演奏は、ザンデルリンクによるチャイコフスキーの交響曲第4番の演奏としては、随一の名演と高く評価したい。

併録のウェーバーの歌劇「オベロン」序曲も、ドイツ風の重厚さと実演ならではの強靭な迫力を兼ね備えた圧倒的な名演と高く評価したい。

音質は、シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤だけに、従来CD盤とはそもそも次元の異なる高音質である。

音質の鮮明さ、音場の幅広さ、音圧のいずれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第だ。

いずれにしても、ザンデルリンクによる至高の超名演を、現在望み得る最高の高音質SACD盤で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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