2013年07月11日
ミュンシュ&ボストン響の君が代、星条旗(米国国歌)、ドビュッシー:交響詩「海」 他(1960 Tokyo Live)
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ミュンシュの指揮による、いわゆるフランス印象派の作曲家であるドビュッシーやラヴェルの管弦楽曲の演奏については、賛否両論があるのではないだろうか。
ミュンシュはフランス人ではあるが、フランス領でありながらドイツ語圏でもあるストラスブールの出身であり、フランス音楽だけでなくドイツ音楽を得意とする指揮者であった。
それ故に、ミュンシュが指揮するフランス音楽は、どちらかと言えば、ドイツ風の重厚さが支配していると言えるところであり、フランス風のエスプリに満ち溢れた瀟洒な味わいにおいてはいささか欠ける演奏が多いというのは否めない事実である。
したがって、ラヴェルの管弦楽曲であれば、先輩のモントゥーや後輩のクリュイタンス、デュトワによる演奏の方がはるかに魅力的であるし、ドビュッシーの管弦楽曲であれば、後輩のマルティノン、デュトワによる演奏の方に軍配があがると言えるのではないだろうか。
もちろん、いずれも高い次元での比較の問題であり、ミュンシュの指揮したドビュッシーやラヴェルの管弦楽曲の演奏も、そんじょそこらの指揮者の演奏などと比較すると十分に魅力的であることは指摘しておかなければならない。
本盤に収められた交響詩「海」のこれまでの既発売の録音としては、スタジオ録音としては手兵ボストン交響楽団との1956年盤、ライヴ録音としては、2年前に発売され話題を独占したパリ管弦楽団との1967年盤が掲げられる。
本盤の演奏は、後者の1967年盤に次ぐ名演として高く評価したい。
前述のようにドイツ音楽を得意とした巨匠だけに、まずは全体の造型がきわめて堅固である。
そして、3つの場面の描写が実に巧みで、加えて、ライヴにおける燃焼度の高い圧倒的な生命力が全体を支配している。
特に、「風と海の対話」における畳み掛けていくような気迫溢れる演奏は圧巻の迫力を誇っている。
ピストンの交響曲第6番は、現代音楽でありながら非常に親しみやすい旋律が満載の魅力作であるが、ミュンシュは曲想を非常に丁寧に描き出しており、明瞭かつ快活な名演に仕上がっているのが素晴らしい。
バーバーの「メディアの瞑想と復讐の踊り」やベルリオーズのラコッツィ行進曲は、ライヴにおいて燃え上がるミュンシュの面目躍如たる生命力に満ち溢れた圧倒的な名演だ。
さらに凄いというか、異色の演奏は冒頭の君が代だ。
君が代をフランス風にアレンジしたような、いささか場違いな演奏ではあるが、芸術的な面白みにおいては無類のものがあると言えよう。
ミュンシュの薫陶を受けたボストン交響楽団も、その圧倒的な統率の下、最高のパフォーマンスを披露してくれているのが見事である。
録音も、1960年のものとは思えないような鮮明で素晴らしい高音質だ。
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