2013年07月14日
ブロムシュテット&ゲヴァントハウスのブルックナー:交響曲第5番
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筆者は、このコンビの同曲を実演で聴いたが、その時の感銘をまざまざと蘇らせてくれる待望のSACDの登場だ。
某有名誌の高名な評論家には酷評されている演奏であるが、筆者としては、ブロムシュテットならではの名演と評価したい。
ブロムシュテットのブルックナーと言えば、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮してスタジオ録音した「第4」や「第7」が思い浮かぶ。
今から30年以上も前の演奏ではあるが、オーケストラのいぶし銀の音色を生かした美しい名演であった。
ブロムシュテットは、今や80代も半ばであるが、本盤におけるアプローチも、前述の「第4」や「第7」とはあまり変わっていない。
ややゆったりめのインテンポで、オーケストラを愚直に鳴らしていくというものだ。
ある意味では職人肌の演奏と言うべきものであり、ヴァントなどのアプローチと共通するものがある。
ヴァントと異なるのは、厳格なスコアリーディングに基づく徹底したこだわりとか、凝縮とも言うべき厳しい造型の構築などが見られないという点であると思われる。
それでも、オーケストラを無機的には陥ることなく、壮麗に鳴らし切るというアプローチは、ブルックナー演奏の王道を行くものである。
加えて、本盤は録音が素晴らしい。
マルチチャンネル付きのSACDは、鮮明さに増して臨場感があり、まさにブルックナーのCDの理想像と言える。
最後に一言。
前述の某評論家は、特に、終楽章において、ヴァント&ベルリン・フィルのみを比較の対象に採り出してきて、本盤の演奏の程度では存在意義はないと切り捨てていた。
高名な評論家に対して申し訳ないが、これは批評には値しない暴言と言える。
ヴァント&ベルリン・フィルは、そもそも次元の異なる歴史的な名演なのだ。
これに優る演奏など、これまで名演の評価を勝ち得てきた演奏の中には皆無である(朝比奈&東京交響楽団、ヨッフム&コンセルトへボウなど)。
にもかかわらず、ブロムシュテット盤だけが、なぜ、他の名演を差し置いて比較の対象にされないといけないのか、はなはだ理解に苦しむ。
この場を借りて、苦言を呈しておきたい。
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