2013年07月16日
ブーレーズのマーラー:子供の不思議な角笛、交響曲第10番〜アダージョ
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ブーレーズは、15年もの長きにわたってマーラーの交響曲全集の録音に取り組んできたが、本盤は、その最後を飾るものである。
まさに、有終の美を飾る名演として高く評価したい。
全集の最後を、未完の交響曲第10番で終えるというのも、いかにもブーレーズらしい。
ブーレーズのマーラーは、若き日の前衛時代ではなく、むしろ角の取れたソフト路線が顕著となった時期の録音だけに、純音楽的なアプローチでありながら、比較的常識的な演奏に仕上がっていることが多いように思う。
そのような中で、今回の第10番は、もちろん、若き日のブーレーズのような切れ味鋭い前衛的な解釈が全体を支配しているわけではないが、近年のブーレーズに顕著な好々爺のような穏健的な解釈ではなく、むしろ、曲想を抉り出していくような冷徹とも言えるアプローチをとっている。
それ故に、甘さを一切配した、若き日のブーレーズを彷彿とさせるような名演に仕上がっている。
テンポがやや速めなのも、こうした傾向に拍車をかけており、私見ではあるが、ブーレーズが、マーラーの交響曲へのアプローチの仕方を、この第10番において漸く見出すことができたのではないかと思うほどだ。
併録の「子供の不思議な角笛」は、第10番とは異なり、いかにも近年のブーレーズらしい穏健な解釈であるが、コジェナーやゲアハーヘルの独唱と相俟って、ゆったりとした気持ちで音楽を味わうことができるのが素晴らしい。
2人の歌手が6曲ずつを分担、「死んだ鼓手」を前半最後の6曲目に入れた以外は珍しく出版譜通りの曲順で演奏されている。
録音も極上で文句なし。
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