2013年07月24日
朝比奈&大阪フィルのブルックナー:交響曲第7番(1975年ライヴ)
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とてつもない超名演の登場だ。
ブルックナーの交響曲を心から愛するとともに十八番とし、とりわけ最晩年には、世界にも誇る至高の超名演を成し遂げた朝比奈だけに、ブルックナーの交響曲第7番については数多くの名演を遺している。
そうしたあまた存在する朝比奈による同曲の名演の中でも双璧とされるのは、最晩年の大阪フィルとのライヴ録音(2001年)と聖フローリアン大聖堂でのライヴ録音(1975年)であるというのが衆目の一致するところではないだろうか。
そのような中に登場した本盤の演奏であるが、これは、前述の聖フローリアン大聖堂でのライヴ録音とほぼ同時期の演奏。
1975年のヨーロッパ公演の最終日のものであり、初めて発売されるものだ。
聴き終えて大変驚き、そして感動した。
聖フローリアン大聖堂でのライヴ録音と同格、いや、音質面や楽器編成(聖フローリアン大聖堂での演奏では、音響の点から木管楽器の倍管編成を一部縮小せざるを得なかった)までを含めると、本演奏の方が優れているとも言えるところであり、まさに前述の2強に本演奏が加わり、朝比奈による同曲の名演の3強の一角を占める至高の超名演と言っても過言ではないのではないだろうか。
確かに、神々しさや深みという面においては、2001年の最晩年の演奏などと比較すると一歩譲るが、荘重にして悠揚迫らぬテンポによるスケールの雄大さは、後年の演奏にも優るとも劣らないと言えるところであり、朝比奈が既に1975年の時点において、ブルックナー演奏の理想像の具現化に成功していたことに驚きの念を禁じ得ない。
音楽の懐の深さ、悠揚迫らぬ格調の高い曲想の運び方やゲネラルパウゼの効果的な活用の妙など、どれをとっても文句の付けようのないレベルに達しており、いささかも隙間風の吹かない重厚にして荘重な奥行きの深い音楽に満たされているのが素晴らしい。
特筆すべきは大阪フィルの力量であり、聖フローリアン大聖堂でのライヴ録音では、大聖堂の残響に配慮してブラスセクションを一部抑え気味にマイルドに演奏させていたところであるが、本演奏では存分に鳴らしており、それでいていささかも無機的な響きを出していないのが見事である。
弦楽合奏の分厚い響きなども、とても1975年当時の日本のオーケストラの水準とは思えないような素晴らしさであり、おそらくは、当日の会場の独特の雰囲気や、ヨーロッパ公演の最終日であるという特別な事情が、大阪フィルをして、持ち得る実力を超えるような奇跡的な名演奏に導いたのではないかとも考えられる。
演奏終了後の長く続く拍手喝采も当然のことであると思われる。
いずれにしても、本演奏は、朝比奈による同曲の数ある名演の中でも、トップ3の一角を占める圧倒的な超名演と高く評価したい。
そして、このような超名演を商品化にこぎつけたアルトゥスレーベルに深く感謝の意を表したい。
音質は、1975年のライヴ録音とは思えないような鮮明で優秀な音質であり、十分に満足できるものである。
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