2013年08月10日
シュヴァルツコップのシューマン:歌曲集
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これはシュヴァルツコップによる傑作とも言える名CDである。
1974年のスタジオ録音ということで、まさにシュヴァルツコップの晩年の演奏ということが言えるが、いささかも歌唱力が衰えるということはなく、むしろ人生の辛酸を舐め尽くした不世出の大歌手だけに可能な圧巻の名唱を披露していると高く評価したい。
それにしても、シューマンの楽曲の演奏は難しい。
交響曲であればそうではないところもあるが、ピアノ曲や歌曲ともなれば、凡庸な演奏ではとても聴いていられないということになる。
シューマンのピアノ曲や歌曲には、いささか俗な言い方になるが、ある種のファンタジーの飛翔のようなものが存在しており、これをいかに的確に表現し得るかに演奏の成否がかかっていると言っても過言ではあるまい。
ドイツ音楽であるからといって、理詰めで演奏したりしてしまうと、ひどく退屈で面白みのない演奏に成り下がってしまう可能性が高い。
しかしながら、シュヴァルツコップによる本演奏については、そのような危険にはいささかも陥っていない。
例によって、本演奏でもシュヴァルツコップの歌唱は上手い。
いや、あまりにも上手過ぎるとも言えなくもないが、これだけシューマンの歌曲の魅力を満喫させてくれれば文句は言えない。
そして、上手過ぎるとは言っても、技巧臭がいささかもしないのがシュヴァルツコップの凄さと言えるだろう。
随所において豊かな情感が込められているが、それでいてセンチメンタルになることはなく、どこをとっても格調の高さを失うことがないのが見事である。
加えて、前述のように、シューマンの歌曲には、ファンタジーの飛翔のようなものが存在しているが、シュヴァルツコップはそれらを見事に描出するのに成功しており、シュヴァルツコップがいかにシューマンの歌曲の神髄を捉えていたのかが理解できるところだ。
ジェフリー・パーソンズのピアノ演奏も素晴らしいものであり、シュヴァルツコップの名唱にいささかも引けを取っていない。
パーソンズのピアノ演奏は、一聴すると淡々した演奏を展開しているように聴こえるが、よく聴くと、前述のようなシューマンの音楽特有のファンタジーの飛翔を見事に表現し得て妙とも言えるところだ。
したがって、シューマンの歌曲に相応しいピアノ演奏と言えるところであり、前述のようなシュヴァルツコップの名唱とも相俟って、珠玉の名演を成し遂げるに至っているものとして高く評価したい。
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