2013年08月12日

ブーレーズのバルトーク:ピアノ協奏曲第1番&第2番&第3番


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本盤にはブーレーズが、各曲毎に異なったピアニスト、オーケストラと組んで演奏を行ったバルトークのピアノ協奏曲全集が収められているが、いずれも素晴らしい名演と評価したい。

それどころか、バルトークのピアノ協奏曲の演奏史上でも、フリッチャイがゲーザ・アンダと組んでベルリン放送交響楽団を指揮した歴史的な超名演(1960、1961年)に次ぐ至高の超名演と高く評価したい。

ブーレーズは、1960年代から1970年代にかけては、前衛的で先鋭的なアプローチによって聴き手を驚かすような衝撃的な名演の数々を成し遂げていた。

しかしながら、1990年代に入ってDGと専属契約を締結した後は、すっかりと好々爺となり、かつてと比較すると随分とノーマルな装いの演奏を繰り広げるようになった。

もちろん、ブーレーズの芸風の基本は徹底したスコアの読み込みにあることから、そのスコアに対する追求の度合いはより深まったと言えなくもない。

ただ、それを実際に音化する際には、おそらくは円熟の境地に去来する豊かな情感が付加されるようになってきたのではないだろうか。

かかるブーレーズの円熟のアプローチが今一つしっくりこない楽曲(とりわけ、ストラヴィンスキー、ドビュッシー、ラヴェル)もあるが、他方、バルトークについては、各楽曲が含有する深遠な世界がより巧みに表現されることになり、むしろ功を奏していると側面もあると考えられる。

とりわけ、ピアノ協奏曲については、バレンボイムと組んで行った演奏(1967年)(ただし、第1番及び第3番のみ)が、指揮者とピアニストの呼吸が今一つであったことからしても、本演奏の圧倒的な優位性にいささかの揺らぎはないものと考えられる。

それにしても、本盤における各曲におけるピアニストやオーケストラの使い分けには抜群のセンスの良さを感じさせる。

第1番は、3作品の中では最も前衛的な装いの楽曲であるが、ツィマーマンの卓越した技量や、トゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫と強靭さは、同曲のアプローチの規範となるべきものと言える。

シカゴ交響楽団の超絶的な技量も本名演に華を添えているのを忘れてはならない。

第2番は、気鋭の若手ピアニストであるアンスネスが、強靭で迫力ある演奏を行いつつも、祖国の大作曲家グリーグの抒情小曲集で披露したような繊細なピアニズムを随所に聴かせてくれるのが素晴らしい。

バルトークが「親しみやすく気楽な性格を持っている」と評したわりには、きわめて晦渋な音楽との印象を受ける同曲ではあるが、ベルリン・フィルの圧倒的な技量も相俟って、おそらくは同曲演奏史上最も明瞭で美しい演奏に仕上がっていると言えるのではないだろうか。

第3番は、バルトークの最晩年の作品だけにその内容の奥深さには尋常ならざるものがあるが、グリモーの強靭な打鍵から繊細な抒情に至るまでの桁外れの表現力の幅の広さが、本演奏における彫りの深い表現の醸成に大きく貢献していると言えるだろう。

ロンドン交響楽団も、最高のパフォーマンスを発揮していると評価したい。

いずれにしても、バルトークのピアノ協奏曲各曲の性格を的確に把握し、それぞれに最適のピアニストとオーケストラを配したキャスティングの巧妙さにも大きな拍手を送りたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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