2013年08月18日
ハイティンク&ロンドン響のブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
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ハイティンクの円熟を感じさせる素晴らしい名演だ。
ハイティンクは、アシュケナージなどと並んで評価が大きく分かれる指揮者と言えるのではないだろうか。
ハイティンクは、全集マニアとして知られ、さすがにハイドンやモーツァルトの交響曲全集は録音していないが、ベートーヴェン、シューマン、ブラームス、ブルックナー、マーラー、チャイコフスキー、ショスタコーヴィチなど、数多くの作曲家の交響曲全集のスタジオ録音を行ってきているところだ。
既に、80歳を超えた大指揮者であり、近年では全集のスタジオ録音に取り組むことはなくなったが、発売されるライヴ録音は、一部を除いてさすがは大指揮者と思わせるような円熟の名演揃いであると言っても過言ではあるまい。
本盤に収められたブルックナーの交響曲第4番も、そうした列に連なる素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。
ハイティンクは、同曲をロイヤル・コンセルトヘボウ(1965年)、そしてウィーン・フィル(1985年)とともにスタジオ録音を行っており、特に、ウィーン・フィルとの演奏については、オーケストラの美演もあって捨てがたい魅力があると言えるが、演奏全体の持つスケールの雄大さや後述の音質面に鑑みれば、本演奏には敵し得ないと言えるのではないだろうか。
ベートーヴェンやマーラーの交響曲の演奏では、今一つ踏み込み不足の感が否めないハイティンクではあるが、ブルックナーの交響曲の演奏では何らの不満を感じさせない。
本演奏においても、ハイティンクは例によって曲想を精緻に、そして丁寧に描き出しているが、スケールは雄渾の極み。
重厚さにおいてもいささかも不足はないが、ブラスセクションなどがいささかも無機的な音を出すことなく、常に奥行きのある音色を出しているのが素晴らしい。
これぞブルックナー演奏の理想像の具現化と言っても過言ではあるまい。
悠揚迫らぬインテンポを基調としているが、時として効果的なテンポの振幅なども織り交ぜるなど、その指揮ぶりはまさに名人芸の域に達していると言ってもいいのではないか。
ハイティンクの確かな統率の下、ロンドン交響楽団も圧倒的な名演奏を展開しており、とりわけホルンをはじめとしたブラスセクションの優秀さには出色のものがあると言えるだろう。
いずれにしても、本演奏は、現代を代表する大指揮者の一人であるハイティンクによる円熟の名演と高く評価したい。
そして、本盤で素晴らしいのは、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。
音質の鮮明さに加えて、臨場感溢れる音場の広さは見事というほかはなく、あらためてSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第だ。
マルチチャンネルで再生すると、各楽器セクションが明瞭に分離して聴こえるのは殆ど驚異的であるとすら言えるだろう。
ハイティンクによる素晴らしい名演をSACDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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