2013年08月19日
シノーポリ&ウィーン・フィルのリスト:管弦楽作品集
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リストは交響詩の創始者として、管弦楽曲の分野においても多大なる貢献をしたにもかかわらず、その録音はさほど多いとは言えないのではないだろうか。
リストの管弦楽曲の中でも特に有名な交響詩「前奏曲」なども、近年では新録音さえ途絶えている状況にあると言えるところであり、その人気の凋落ぶりは著しいと言わざるを得ないだろう。
そのような嘆かわしい現状にはあるが、2001年に51歳の若さで急逝したシノーポリが、しかも天下のウィーン・フィルを指揮して、リストの代表的な管弦楽曲のスタジオ録音を遺してくれたのは何という素晴らしいことであろうか。
本盤に収められた演奏は、いずれもそのような期待をいささかも裏切られることがない素晴らしい名演と高く評価したい。
本演奏におけるアプローチは、いかにも精神医学者出身で作曲家でもあるシノーポリならではのものだ。
各演奏ともに、楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした明晰さが際立っており、いずれの楽曲についても、その隅々に至るまで楽想がこれほどまでに明瞭に描き出された演奏は史上初めてと言えるのではないだろうか。
テンポもややゆったりとしたものであり、スケールも極めて雄大である。
このような細部に拘った演奏は、時として音楽の自然な流れを損なってしまう危険性があるが、かかるシノーポリの精神分析的な演奏に適度の潤いと情感の豊かさを付加し、音楽がごく自然に滔々と流れるように仕向けているのが、ウィーン・フィルによる名演奏であるということも忘れてはならない。
録音は従来盤でも十分に満足できる高音質であったが、今般のSHM−CD化によって若干ではあるが鮮明さが増すとともに、音場が幅広くなったように感じられるところである。
シノーポリによる素晴らしい名演を、SHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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