2013年08月21日
ワルシャワ・リサイタル〜バレンボイム・プレイズ・ショパン
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同時発売のショパンのピアノ協奏曲第1番及び第2番と同様に、バレンボイムのDGへの移籍第1弾となるCDの登場だ。
本盤には、ショパンの幻想曲やピアノ・ソナタ第2番を軸として、ポロネーズ「英雄」や子犬のワルツ、舟歌と言った有名な小品が収録されている。
これらの演奏は、いずれも、ショパン生誕200年を記念してワルシャワで行われたコンサートのライヴ録音であり、このコンサートは、バレンボイム自身の演奏活動60年を記念するものでもあったとのことだ。
バレンボイムは、近年では指揮者としての活動が中心であり、ピアニストとしても、ベートーヴェンやモーツァルトなどの独墺系の作品をレパートリーの中心に掲げてきている。
したがって、バレンボイムのショパンというのはピンと来ないというのが正直なところであるが、前述のような記念となるコンサートの曲目としてショパンを選んだところに、バレンボイムのショパンへの深い理解と愛着を感じることが可能だ。
それにしても、バレンボイムのピアニズムは重厚で彫りが深い。
あたかも、ベートーヴェンのピアノ・ソナタに接するのと同様のアプローチで、ショパンに接していると言えるだろう。
したがって、ショパンのピアノ曲に特有の愉悦やユーモアと言った側面にはいささか欠けると言わざるを得ないが、各楽曲の本質に潜んでいる寂寥感や人生への絶望感などに切り込んで行く鋭さには無類のものがあり、いわゆる音楽の内容の根底にある精神的な深みの追求に関しては、他のピアニストの追随を許さないような奥深さがある。
かかる演奏は、ショパンの音楽を陳腐なサロン音楽と見做す考え方に対する強烈なアンチテーゼとさえ言えるだろう。
このような重いショパンは願い下げという聴き手もいるとは思うが、筆者としては、ショパンの音楽を、それこそベートーヴェンの音楽の高踏的な次元にまで引き上げることに成功した素晴らしい名演と高く評価したい。
録音も鮮明な高音質であり、本名演の価値を高めるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
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