2013年08月23日
東京クヮルテットのベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番&第11番
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東京弦楽四重奏団による2度目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集録音の第3弾の登場だ。
第3弾においては、中期から後期への橋渡しとなる第10番と第11番を収録。
「ハープ」、「セリオーソ」という、愛称を有した楽曲どうしの組み合わせだ。
いずれも、第1弾(第7〜第9番のいわゆるラズモフスキー3部作)及び第2弾(第1〜第6番の初期の弦楽四重奏曲)と同様の素晴らしい名演と高く評価したい。
本演奏における東京弦楽四重奏団のアプローチは、これまでのものと何ら変わるところがない。
楽想を精緻に、そして情感豊かに描き出して行くというものだ。
本盤に収められた両曲は、その愛称の所以にもなっているが、ピツィカートやユニゾンなどに独特の音型があらわれるのを大きな特徴としている。
こうした特徴的な音型において、東京弦楽四重奏団の4人の奏者が使用している、世界にも6セットしかないとされているパガニーニ選定の銘器ストラディバリウスによる独特の美しい音色による表現は実に効果的であり、両曲の演奏をより一層魅力的なものとする結果に繋がっていることを忘れてはならない。
東京弦楽四重奏団は、既に結成以来40年以上が経過しているが、その間にメンバー交代があり、現在では日本人奏者が2人しかおらず、一時は音色の調和に苦しんだ時期もあったと言われているが、本演奏においては、そのような苦難を克服し、息の合った絶妙のアンサンブルを披露してくれており、今や、この団体が円熟の境地にあることを感じさせてくれるのが素晴らしい。
もちろん、円熟と言っても穏健一辺倒ではなく、第10番の第3楽章や第11番の第1楽章及び第3楽章における気迫溢れる演奏は、凄みさえ感じさせる圧巻の迫力を誇っている。
いずれにしても、本演奏においては、聴き手を驚かすような特別な個性があるわけではないが、いささかも奇を衒うことがなく、これらの作品の持つ魅力をゆったりとした気持ちで満喫することが可能であるという点においては、過去の様々な個性的な名演にも決して引けを取らない名演である。
マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音も、本盤の価値をより一層高めるのに大きく貢献している。
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