2013年08月31日

アバド&ベルリン・フィルのマーラー:交響曲第6番「悲劇的」


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本盤に収められたマーラーの交響曲第6番は、DVD作品を除けば、アバドによる3度目の録音ということになる。

最初のものは、ウィーン交響楽団とのライヴ録音(1967年)であり、デビューしたばかりの若きアバドならではの渾身の大熱演であった。

これに対して、2度目のものはシカゴ交響楽団とのスタジオ録音(1979〜1980年)であり、これはある意味ではアバドが最も輝いていた時期の演奏。

持ち味である歌心溢れる豊かな歌謡性と強靭な気迫や生命力が融合した稀有の名演に仕上がっていた。

これに対して、本演奏は2004年のライヴ録音。

これまでの2度にわたる演奏とは一線を画する円熟の名演に仕上がっている。

本演奏の最大の優位点は、演奏全体を支配する奥行きの深さである。

アバドはベルリン・フィルの芸術監督を退任する少し前の2000年に大病を患うことになった。

そして、アバドはその大病を見事に克服するのであるが、死と隣り合わせの苛烈な体験を経たことによって、アバドの芸風には、それまでの演奏にはなかった凄みと底知れぬ彫りの深さが加わったと言えるのではないだろうか。

ベルリン・フィルの芸術監督に就任して以降は、借りてきた猫のように大人しい演奏に終始していただけに、その変貌ぶりには驚くべきものがあったとも言える。

したがって、本演奏には、これまでの2度にわたる演奏には存在しなかった楽曲の心眼に鋭く切り込んでいくような彫りの深さが存在しているというのはある意味では当然であり、まさにアバドによる円熟の名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。

もっとも、トゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫や強靭な迫力という意味においては、シカゴ交響楽団との2度目の録音と比較するといささか見劣りするとも言えなくもないが、むしろ、このように決して喚いたり叫んだりしない、そして奥行きの深い演奏の中にも持ち前の豊かな歌謡性をより一層際立たせたいい意味での剛柔バランスのとれた演奏こそが、アバドが目指す究極のマーラー演奏の理想像とも言えるのかもしれない。

なお、アバドは、これまでの2度にわたる録音とは異なり、国際マーラー協会の見解に従って、第2楽章と第3楽章を入れ替えるバージョンで演奏しているが、これはいかにも新しいもの好きのアバドならではの解釈である。

ベルリン・フィルも、このような深みと凄みを増したアバドによる確かな統率の下、持ち得る実力を十二分に発揮した最高のパフォーマンスを示していると評価したい。

録音については、数年前に発売されたこのマルチチャンネル付きのSACDがベストの高音質である。

当該SACD盤は現在でも入手可であり、可能であれば、当該SACD盤の入手をおすすめしたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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