2013年09月05日

ノリントン&シュトゥットガルト放送響のブラームス:交響曲全集


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ノリントンならではのスパイスの効いた個性的な名演だ。

いわゆる現代楽器を使用した古楽器奏法であるが、フレージングは実に温かく、歌うべきところは徹底して歌い抜くなど、無味乾燥にはいささかも陥っていない点を高く評価したい。

ところどころにノリントンならではの独特の仕掛けがあって、とても一筋縄ではいかないが、単なる見せかけの表面的な効果を狙ったものではなく、芸術的なレベルに達している点は、ノリントンの類稀なる才能の証左と言える。

マルチチャンネル付きのSACDによる高音質録音によって、ノリントンならではの芸の細かさを鮮明な音質で堪能できるのも、本CDの大きな強みと言える。

第1番は、第1楽章冒頭の、序奏部の駆け足のテンポと、主部のゆったりめのテンポの対比が、他の指揮者の演奏と真逆であり、実に個性的。

提示部の繰り返しも忠実に行っているが、決していやではないのは、ノリントンの演奏内容の面白さにあるのは自明の理であろう。

第2楽章は、むせ返るような情感の豊かさが際立っており、第3楽章は一転してハイテンポで駆け抜ける。

中間部の各管楽器や弦楽器の重層的な響かせ方は初めて聴くような新鮮さだ。

終楽章は、第2楽章と同様に、情感の豊かさと重厚さを兼ね備えた雄渾な表現だ。

第2番は、第1楽章冒頭のホルンや木管楽器の、旋律の終わりの部分にテヌートをかける吹かせ方が実に個性的。

テンポは全体的に中庸と言えるが、主部の弦楽器による主旋律が他の演奏のように粘ったりしないのは、古楽器奏法の面目躍如と言ったところであろう。

繰り返しを忠実に行うのは第1番と同様であるが、決していやではないのは、ノリントンの至芸の賜物と言える。

第2楽章は、弦楽器をあまり歌わせないのが実に個性的。

おどろおどろしい演奏が多い中で、演奏に新鮮さを与えている点を忘れてはならない。

こうした演奏故に、その後に続くホルンと木管楽器の絡み合いに深みが出るのは当然のことである。

第3楽章は、テヌートをいささかもかけない木管楽器の軽快でリズミカルな吹かせ方、そして鋭いアクセントなどが特徴であるが、終楽章の前座と考えれば、実に的を射た解釈と言える。

そして、終楽章は、一転して、中庸のテンポによる重厚で迫力ある演奏を繰り広げており、熱狂のうちに全曲を締めくくっている。

第3番は、第1楽章冒頭の2つの和音のうち、2つ目の和音を強くするとか、弦楽器や管楽器の粘った弾き方、吹き方が超個性的。

第2楽章の決して重くはならない演奏はノリントンならではと言えるが、それでいて歌うべき箇所は徹底して歌い抜くなど、無味乾燥にはいささかも陥っていない。

第3楽章は、有名な名旋律を情感豊かに歌わせているが、中間部の木管楽器を速めにして、弦楽器をゆったりとしたテンポで情感豊かに演奏させているが、これは魔法のような圧巻の至芸と言える。

終楽章は、速めのテンポで駆け抜けるが、重厚さにおいてもいささかも欠けることがない。

そして、第4番。

第1楽章は、全体としてはシューリヒトやムラヴィンスキーなどと同様の端麗辛口の演奏を装っているが、弦楽器の歌わせ方など、実に情感豊かであり、とても単純には言い表せない。

第2楽章冒頭のテヌートがかからないホルンや木管楽器の吹かせ方も個性的であるが、それに続く、中間部の弦楽器の弾かせ方は重厚で実に感動的。

それでいて、重々しくならないのは、ノリントンだけが成し得る至芸だと言える。

後半の木管楽器の枯れた味わいは、ブラームス晩年の憂いを表現し得て妙だと高く評価したい。

第3楽章は、意外にも中庸のテンポで開始されるが、歯切れがよく、リズミカルな管楽器や弦楽器の響かせ方は、さすがはノリントンである。

終楽章は、冒頭の各和音をくっきりと明瞭に響かせるのが素晴らしい。

テンポはゆったりとしているが、その後に続く各変奏を考えれば、この解釈は大正解である。

その後は、ノリントンのまさに独壇場。

弦楽器の粘ったような弾かせ方、金管楽器の朗々たる吹かせ方、アッチェレランドの連続、テンポの思い切った激変、鋭いアクセントや、心を込め抜いた情感の豊かさなど、ノリントンは可能な限りの表現を駆使して、この場面の変転の激しいパッサカリアを実に表現豊かに面白く聴かせてくれている。

そして、終結部は、若干のアッチェレランドをかけながら、圧倒的な熱狂のうちに締めくくるのである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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