2013年09月08日

ムター&マズアのベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、2つのロマンス


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本盤に収められたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、ムターによる約20年ぶりの2度目の録音である。

最初の録音は、ムターがいまだハイティーンの時代の演奏(1979年)であり、バックは、ムターのパトロンでもあったカラヤン、そしてオーケストラはベルリン・フィルという超豪華な布陣によるものであった。

当該演奏は素晴らしい名演として現在においても燦然と輝いてはいるものの、演奏の主導権はカラヤン&ベルリン・フィルが終始握っており、ムターはその土俵の上で懸命に演奏しているという印象が拭えないところだ。

もちろん、ムターも精一杯の渾身の演奏を行ってはいるのだが、いまだハイティーンということもあって、その個性を全面的に発揮するまでには至らず、いささか線の細さを感じさせずにはいられなかったとも言える。

したがって、旧演奏はムターの個性というよりはむしろカラヤン&ベルリン・フィルによる重厚な演奏がトレードマークの名演と言えるが、これに対して、本演奏は、旧演奏から約20年の歳月を経て円熟の境地に達しつつあるムターが、その個性を全面的に発揮させた演奏と言えるのではないだろうか。

本演奏においては、旧演奏においていささか気になった線の細さなどはいささかも感じられず、近年のムターならではの骨太の力強い演奏を聴くことが可能である。

例によって、心を込め抜いた熱きロマンティシズムや変幻自在のテンポの変化、思い切った強弱の付加など、自由奔放とも言うべき個性的な演奏を繰り広げてはいるが、それでいて格調の高さをいささかも失うことがないのはムターの類稀なる豊かな音楽性と円熟の賜物である。

卓越した技量においても申し分がないところであるが、ムターの場合は巧さを感じさせることがなく、いわゆる技巧臭よりも音楽そのものの美しさのみが際立っているのが素晴らしい。

こうしたムターの円熟のヴァイオリン演奏を下支えしているのがマズア&ニューヨーク・フィルであるが、さすがにカラヤン&ベルリン・フィルと比較すると、重厚さや技量においていささか分が悪いのは否めないところだ。

もっとも、楽曲が重厚な分厚い演奏を必要とするブラームスのヴァイオリン協奏曲ではなくベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ということもあり、必ずしも不満を感じさせるというほどではなく、むしろムターのヴァイオリン演奏を引き立てるという意味においては、過不足のない名演奏を行っていると言えなくもない。

いずれにしても、本演奏はムターの円熟の個性的な名演奏を存分に味わうことが可能な素晴らしい名演と高く評価したい。

併録のヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス第1番&第2番も、ヴァイオリン協奏曲と同様のアプローチによる素晴らしい名演だ。

音質は2002年のスタジオ録音ということもあって十分に満足できるものである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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