2013年09月10日
シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデンのシューベルト:交響曲第8番「未完成」、第9番「ザ・グレイト」
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本盤には、2001年に惜しくも急逝したシノーポリによるシューベルトの「未完成」と「ザ・グレイト」が収められているが、いずれも素晴らしい名演と高く評価したい。
本名演の性格を簡潔に表現すれば、シノーポリによる楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした精神分析的なアプローチといぶし銀の音色が魅力のシュターツカペレ・ドレスデンによる絶妙のコラボレーションということではないだろうか。
シューベルトは、かつてはウィーンの抒情的な作曲家として捉えられており、ワルターなどそうした捉え方に沿った名演が数多く生み出されてきたが、近年では、美しい旋律の中に時として垣間見られる人生の寂寥感や絶望感などに焦点を当てた演奏も数多く行われるようになってきたように思われる。
医者出身という異色の経歴を持つシノーポリだけに、本演奏においても、まさに両曲の心眼を鋭く抉り出していくようなアプローチが展開されている。
テンポ自体はシノーポリとしては全体として若干速めであるが、表面上の旋律の美しさに惑わされることはなく、どこをとってもシューベルトの心底にあった寂寥感や絶望感にメスを入れていこうという凄みや鋭さが感じられるのが素晴らしい。
こうしたシノーポリによる楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした精神分析的な鋭いアプローチに適度の潤いと温かみを与えているのが、シュターツカペレ・ドレスデンによる美しさの極みとも言うべき名演奏である。
シュターツカペレ・ドレスデンが醸し出すいぶし銀の音色は、本演奏をより優美にして重厚な至高の名演に高めることに大きく貢献していることを忘れてはならない。
録音は、従来盤でも十分に満足できる音質であったが、今般のSHM−CD化によってさらに音質が鮮明になるとともに、音場が広くなったと思われる。
いずれにしても、シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデンという絶妙のコンビが生み出した至高の名演を、SHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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