2013年09月19日
ベーム&ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲第6番「田園」/シューベルト:交響曲第5番
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ベームは、ベートーヴェンの交響曲全集を完成させるなど、ベートーヴェンを重要なレパートリーとしていたが、ライヴ録音も含め数あるベームによるベートーヴェンの交響曲の演奏の中でも最高の名演は、本盤に収められた「田園」ということになるのではないか。
それどころか、他の指揮者による「田園」の名演の中でも、ワルター&ウィーン・フィル(1936年)、ワルター&コロンビア交響楽団(1958年)と並ぶ至高の超名演と高く評価したい。
なお、ベームには、1977年の来日時のライヴ録音(1977年)もあるが、オーケストラの安定性などを含めて総合的に評価すると、本演奏の方をより上位に置きたいと考える。
ワルターが、「田園」を情感豊かに描き出したのに対して、ベームの演奏は重厚でシンフォニックなものだ。
全体の造型は例によってきわめて堅固であるが、その中で、ベームはオーケストラを存分に鳴らして濃厚さの極みと言うべき内容豊かな音楽を展開している。
スケールも雄渾の極みであり、第4楽章の畳み掛けていくような力強さや、終楽章の大自然への畏敬の念を感じさせるような崇高な美しさにおいても、いささかも不足することはない。
テンポは全体として非常にゆったりとしたものであるが、最晩年のベームが陥ったリズムの硬直化がいささかも見られず、音楽が滔々と淀みなく流れていくのも素晴らしい。
このようなベームの重厚でシンフォニックな演奏に適度な潤いと深みを与えているのが、ウィーン・フィルによる素晴らしい演奏だ。
その演奏は、まさに美しさの極みであり、とりわけウィンナ・ホルンなどの朗々たる奥行きのある響きには抗し難い魅力がある。
また、本盤には、シューベルトの「第5」がカップリングされているが、これまた素晴らしい名演だ。
ベームのシューベルトは、堅固な造型の中にも、豊かな情感が満ち溢れており、硬軟併せ持ついい意味でのバランスのとれた演奏と言える。
私見ではあるが、ワルターとクレンペラーの演奏を足して2で割ったような演奏様式と言えるのかもしれない。
録音も、リマスタリングを繰り返してきたこともあって通常CDでも比較的鮮明な音質である。
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