2013年09月22日
サットマリーのバッハ:オルガン名曲集
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サットマリーによるバッハのオルガン名曲集であるが、堂々たるドイツ正統派のオルガン演奏であり、いずれの楽曲も素晴らしい名演と高く評価したい。
まず、何よりもXRCDによる超高音質録音について言及しておきたい。
オルガンの録音は非常に難しい。
オルガンの音色は、教会の豊かな残響があってこそ生きてくるものであるが、残響を最大限に収録してしまうと、オルガンの旋律線が極めてぼやけた不明瞭な録音に陥ってしまう危険性がある。
他方、その危険性を避けるために残響をあまりに絞り過ぎると、演奏全体の荘重な雰囲気をぶち壊してしまうことにもなりかねない。
また、オルガンの重低音の再現が必要不可欠であるが、ダイナミックレンジの加減によっては音の歪みが生じることもあり、さりとて、低音を抑制して収録してしまうと、迫力のない干物のような音質になり下がってしまう可能性が大である。
これほどまでにオルガンの録音は難しいと言えるが、本演奏の録音は前述のような問題は皆無であり、聴き手の耳にずしりと響いてくるような重厚にして迫力満点のオルガン演奏を聴くことが可能であり、オルガンの録音としては最高の出来栄えと言える。
そして、演奏内容についても、前述のように素晴らしい。
サットマリーは、各楽曲を誠実に弾きこなしていくことを通じて、その魅力を聴き手にできるだけわかりやすく伝えていこうという真摯で丁寧な知的アプローチが功を奏している。
確かに、本盤における演奏には、ヴァルヒャやリヒターの演奏に聴かれるような、聴き手を容易には近づけない峻厳さにおいてはいささか後塵を拝しているが、バッハのオルガン曲をゆったりとした気持ちで満喫することができるという意味においては、本演奏も過去の個性的な名演の中でも、十分にその存在感を発揮している。
また、ヨーロッパ最大規模を誇るとされるズウォレ聖ミヒャエル教会のシュニットガー・オルガンの壮麗な音色を堪能できるのも、本演奏の大きな魅力であると高く評価したい。
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