2013年09月23日

ブロムシュテット&ゲヴァントハウスのブルックナー:交響曲第3番


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本盤に収められたブルックナーの交響曲第3番は、ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナーチクルスの第5弾であるが、前作の第5番と同様に素晴らしい名演と高く評価したい。

このコンビによるブルックナーが、いよいよ快調の波に乗ったことを裏付ける内容である。

本演奏の売りは、何と言っても初稿を採用しているということであろう。

このコンビによるこれまでの演奏では、第5番や第8番などにおいても初稿を採用していなかったことに鑑みれば、第3番において何故にブロムシュテットが初稿を採用したのかは疑問が残るところだ。

かつては、初稿はブルックナーを研究する音楽学者の学究的な関心事項でしかなかったが、インバルやケント・ナガノ、シモーネ・ヤングなどの初稿を尊重する指揮者によって、芸術的にも優れた名演が数多く成し遂げられるようになってきたことから、今日では初稿のグレードが大いに上がってきている。

とりわけ、第3番の初稿は、その愛称が示すとおりワーグナーの楽曲からの引用が数多く見られるなど、一般的な第2稿や第3稿とはその内容が大きく異なり、あたかも別の作品のような楽曲であることから、ブロムシュテットも余程のポリシーを持って初稿を採用するに至ったことは想像するに難くない。

いずれにしても、本演奏には、ブロムシュテットの確固たる信念を感じ取ることが可能な、仰ぎ見るような威容を湛えた堂々たる名演に仕上がっている。

この指揮者ならではの全体の造型の堅固さは健在であるが、スケールも雄渾の極み。

シャイー時代になってオーケストラの音色に色彩感を増したと言われているゲヴァントハウス管弦楽団ではあるが、本演奏ではブロムシュテットの確かな統率の下、ドイツ風の重心の低い音色で重厚な演奏を繰り広げているのが素晴らしい。

全体としてはゆったりとしたインテンポを基調としているが、ここぞという箇所では微妙にテンポを動かしており、それが演奏全体を四角四面にしないことに大きく貢献している。

ブラスセクションなども最強奏させているが、無機的になることはいささかもなく、どこをとっても奥行きの深さを損なっていないのが素晴らしい。

随所にあらわれる初稿ならではのワーグナーの楽曲の旋律の歌わせ方も実に巧みであり、初稿を採用したこれまでの演奏の中でも、シモーネ・ヤングによる名演と同格か、あるいはオーケストラの優秀さを勘案すれば、それ以上の名演に仕上がっていると言っても過言ではあるまい。

そして、本盤でさらに素晴らしいのはマルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。

コンサート会場の豊かな残響を取り入れた臨場感溢れる鮮明な高音質は、本名演の価値をさらに高めることに大きく貢献している点を忘れてはならない。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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