2013年09月27日

小澤&ベルリン・フィルのチャイコフスキー:交響曲第5番、大序曲「1812年」


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本盤に収められたチャイコフスキーの交響曲第5番は、小澤による2度目の録音ということになる。

前回はボストン交響楽団を指揮してのもの(1977年)であり、いかにも若武者ならではの爽快な名演であったが、本盤はそれから12年ぶりの録音である。

前年に、同じくベルリン・フィルと第4番(1988年)を録音しており、それがなかなかの名演であったことから、筆者も随分と期待して聴いたのだが、残念ながら第4番ほどの感銘を受けなかったことを告白せざるを得ない。

この程度の演奏であるならば、むしろ1977年盤の方が優れていると言えるのかもしれない。

その理由はいろいろとあるが、小澤に起因するというよりもベルリン・フィルの方に問題があったのではないかと考えられるところだ。

ベルリン・フィルは、例のザビーネ・マイヤー事件の勃発後、蜜月状態にあったカラヤンとの関係が修復不可能にまで決裂状態になった。

したがって、カラヤンがウィーン・フィルに軸足を移すようになってからは、特にポストカラヤンと目される指揮者とは、カラヤンへの対抗意識からとてつもない名演を行うようになった。

マゼールによるブルックナーの交響曲第7番及び第8番(1987〜1988年)、アバドとブレンデルによるブラームスのピアノ協奏曲第1番(1986年)、ムーティとのブルックナーの交響曲第4番(1985年)など、名演には枚挙にいとまがないところだ。

小澤とのチャイコフスキーの第4番(1988年)もそうした名演の一つに掲げられるものと考えられる。

ところが、本演奏の録音は1989年4月であり、これはカラヤンがついに終身の芸術監督を辞任した時にあたる。

今まで対抗意識を持って戦ってきたカラヤンが自らその地位を投げ出したのであり、いくらプロフェッショナルに徹していたベルリン・フィルと言えども、これまで張りつめていた緊張が急に解けることになり、その演奏に影響が及んだことは十分に考えられるところだ。

実際のところ、本演奏でのベルリン・フィルは、決して好調とは言えないところであり、小澤の意欲的な指揮も随分と空回りしているように思われてならないのだ。

これに対して、併録の大序曲「1812年」は、ベルリン・フィルもアバドを芸術監督に迎えて心機一転を図るなど安定した時期に入った際の演奏(1992年)であり、小澤のエネルギッシュな指揮も相俟って、素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。

録音は、従来盤では特に交響曲第5番において音質がイマイチ良くないと指摘されていたところであったが、今般のSHM−CD化によって、そうした問題は解消され、素晴らしい音質に蘇っている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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