2013年09月29日
フランソワのドビュッシー:ピアノ作品集
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本盤に収められたドビュッシーのピアノ作品集は、最晩年のフランソワが成し遂げた不朽の名盤である。
フランソワの急死によって全集完成に漕ぎ着けることができなかったのは残念ではあるが、それでも本演奏の素晴らしさにいささかの揺らぎが生じるものではない。
ドビュッシーのピアノ曲の名演を成し遂げたピアニストは、これまで多く存在しているが、その中でもサンソン・フランソワの演奏は、個性的という意味においては最右翼に掲げられるべきものと言えるのではないだろうか。
いわゆる崩した弾き方とも言えるものであり、あくの強さが際立った演奏とも言える。
それ故に、コンクール至上主義が横行している現代においては、おそらくは許されざる演奏であり、ドビュッシーのピアノ曲を得意としたギーゼキングによる演奏のように、オーソドックスなアプローチによる名演とは大きく異なり、安心して楽曲の魅力を満喫することが可能な演奏ではなく、あまりの個性的なアプローチ故に、聴き手によっては好き嫌いが分かれる演奏とも言えなくもないが、その演奏の芸術性の高さには無類のものがあると言っても過言ではあるまい。
フランソワは、もちろん卓越した技量を持ち合わせていたが、いささかも技巧臭を感じさせることはなく、その演奏は、即興的で自由奔放とさえ言えるものだ。
テンポの緩急や時として大胆に駆使される猛烈なアッチェレランド、思い切った強弱の変化など、考え得るすべての表現を活用することによって、独特の個性的な演奏を行っている。
各旋律の心を込め抜いた歌い方にも尋常ならざるものがあるが、それでいて、陳腐なロマンティシズムに陥ることなく、常に高踏的な芸術性を失うことがないのが見事であると言えるだろう。
また、一聴すると自由奔放に弾いているように聴こえる各旋律の端々には、フランス人ピアニストならではの瀟洒な味わいに満ち溢れたフランス風のエスプリ漂う情感が込められており、そのセンス満点の味わい深さには抗し難い魅力に満ち溢れているところだ。
本盤に収められたドビュッシーのピアノ作品集も、まさにセンスの塊とも言うべき名演奏であり、自己主張をコントロールして全体を無難に纏めようなどという考えは毛頭なく、前述のように、強烈な個性という意味においては、フランソワによる本演奏の右に出る演奏は存在しないと言っても過言ではあるまい。
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