2013年10月01日

デュ・プレ&バレンボイムのショパン&フランク:チェロ・ソナタ[SACD]


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本盤には、悲劇のチェリストであるデュ・プレが、夫君であるバレンボイムとともに1971年及び1972年に行った最後のスタジオ録音であるショパンのチェロ・ソナタと、フランクの有名なヴァイオリン・ソナタをチェロ用に編曲したチェロ・ソナタが収められている。

既に、多発性硬化症という不治の難病を発症したデュ・プレによる最後の録音でもあり、そうした点だけに絞って考えても歴史的な超名演と言える存在だ。

デュ・プレは、得意のエルガーのチェロ協奏曲やドヴォルザークのチェロ協奏曲を演奏する時のみならず、どのような楽曲の演奏に臨むに際しても全力投球で、体当たりとも言うべき渾身の演奏を行ったと言えるところであるが、本演奏におけるデュ・プレは、さすがに多発性硬化症を発症しただけあって、それまでのデュ・プレのような体当たりの渾身の演奏までは行っているとは言い難い。

しかしながら、内なる気迫という意味においては、いささかも引けを取っておらず、演奏全体に漲っている何とも言えない凄みは、とても女流チェリストなどによる演奏とは思えないほどである。

本演奏の後は、2度とチェロを弾くことがかなわなくなるのであるが、デュ・プレのこのような凄みのあるチェロ演奏は、今後の自らの悲劇的な運命を前にした、何かに取り憑かれたような情念や慟哭のようなものさえ感じさせる。

もっとも、我々聴き手がそのような色眼鏡でデュ・プレのチェロ演奏を鑑賞しているという側面もあるとは思うが、いずれにしても、本演奏全体に漲っている内なる気迫や凄み、そして雄渾なスケールを伴った圧倒的な演奏は、我々聴き手の肺腑を打つのに十分である。

それでいて、両曲には、人生の諦観を思わせるような寂寥感、深遠な抒情などが込められているが、デュ・プレは、そうした箇所における各旋律の繊細にして情感の豊かな表現おいてもいささかの不足はないと言えるところであり、その奥深い情感がこもった美しさの極みとも言える演奏は、これからデュ・プレを襲うことになる悲劇が重ね合わせになり、涙なしには聴くことができないほどのものである。

デュ・プレのチェロ演奏のバックのピアノ演奏をつとめるのは夫君であるバレンボイムであるが、本演奏においては、デュ・プレのチェロ演奏をしっかりと引きたてるとともに、一緒になって両曲の奥深い情感の世界を見事に描出するのに成功している点を評価したい。

音質については、1971年及び1972年のスタジオ録音であるが、従来CD盤は今一つ冴えない音質であったところだ。

しかしながら、今般、ついに待望のSACD化が行われることによって、見違えるような鮮明な音質に生まれ変わった。

デュ・プレのチェロ演奏の弓使いやバレンボイムのピアノタッチが鮮明に再現されるのは殆ど驚異的ですらある。

いずれにしても、デュ・プレ、そしてバレンボイムによる圧倒的な超名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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