2013年10月01日
デュ・プレ&バレンボイムのハイドン:チェロ協奏曲第1番 ボッケリーニ:チェロ協奏曲
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本盤には、悲劇のチェリストであるデュ・プレが1967年にスタジオ録音したハイドンのチェロ協奏曲第1番と、ボッケリーニのチェロ協奏曲が収められている。
いずれも、デュ・プレならではの圧倒的な超名演だ。
デュ・プレは、得意のエルガーのチェロ協奏曲やドヴォルザークのチェロ協奏曲を演奏する時のみならず、どのような楽曲の演奏に臨むに際しても全力投球で、体当たりとも言うべき渾身の演奏を行ったと言えるところであるが、本演奏におけるデュ・プレによる渾身の気迫溢れる演奏の力強さについても、とても女流チェリストなどとは思えないような圧巻の凄まじさである。
本演奏の数年後には多発性硬化症という不治の難病を患い、2度とチェロを弾くことがかなわなくなるのであるが、デュ・プレのこのような壮絶とも言うべき凄みのあるチェロ演奏は、あたかも自らをこれから襲うことになる悲劇的な運命を予見しているかのような、何かに取り憑かれたような情念や慟哭のようなものさえ感じさせる。
もっとも、我々聴き手がそのような色眼鏡でデュ・プレのチェロ演奏を鑑賞しているという側面もあるとは思うが、いずれにしても、演奏のどこをとっても切れば血が出てくるような圧倒的な生命力に満ち溢れるとともに、女流チェリスト離れした強靭な力感に満ち、そして雄渾なスケールを伴った圧倒的な豪演は、我々聴き手の肺腑を打つのに十分である。
それでいて、両曲の緩徐楽章などにおける繊細にして情感の豊かな表現おいてもいささかの不足はないと言えるところであり、その奥深い情感がこもった美しさの極みとも言える演奏は、これからデュ・プレを襲うことになる悲劇が重ね合わせになり、涙なしには聴くことができないほどのものである。
デュ・プレのチェロ演奏のバックの指揮をつとめるのは、夫君のバレンボイムとその統率下にあったイギリス室内管弦楽団である。
バレンボイムは、モーツァルトのピアノ協奏曲などにおいても名コンビぶりを見せたイギリス室内管弦楽団を巧みにドライブして、気心の知れたデュ・プレのチェロ演奏のサポートをしっかりと行い、見事な名演を繰り広げているのが素晴らしい。
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