2013年10月04日
カラヤン&ベルリン・フィルのシューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」 /劇音楽「ロザムンデ」よりバレエ音楽
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広範なレパートリーを誇ったカラヤンであるが、カラヤンは必ずしもシューベルトを得意とはしていなかった。
カラヤン自身は、シューベルトをむしろ好んでおり、若き頃より理想の演奏を行うべく尽力したようであるが、難渋を繰り返し、特に、交響曲第9番「ザ・グレイト」に関してはフルトヴェングラーに任せるなどとの発言を行ったということもまことしやかに伝えられている。
しかしながら、それほどまでにカラヤンのシューベルトの演奏は出来が悪いのであろうか。
本盤に収められた交響曲第9番「ザ・グレイト」は、カラヤンによる唯一のシューベルトの交響曲全集からの抜粋である。
そして、カラヤンは同曲をその後一度も録音しなかった。
したがって、本演奏は、カラヤンによる同曲の究極の演奏と言っても過言ではあるまい。
そしてその演奏内容は、他の指揮者による名演とは一味もふた味も異なる演奏に仕上がっている。
本演奏に存在しているのは、徹頭徹尾、流麗なレガートが施されたいわゆるカラヤンサウンドに彩られた絶対美の世界であると言えるだろう。
シューベルトの交響曲は、音符の数が極めて少ないだけに、特にこのようないわゆるカラヤンサウンドが際立つことになると言えるのかもしれない。
したがって、シューベルトらしさと言った観点からすれば、その範疇からは大きく外れた演奏とは言えるが、同曲が持つ音楽の美しさを極限にまで表現し得たという意味においては、全盛期のカラヤンだけに可能な名演と言えるのではないかと考えられる。
また、同曲の心眼に鋭く切り込んでいくような奥の深さとは無縁の演奏ではあるが、これだけの究極の美を表現してくれたカラヤンの演奏に対しては文句は言えまい。
なお、カラヤンはベルリン・フィルとともに、同曲を1968年に録音しているが、本演奏のような美の世界への追及の徹底度がやや弱いきらいがあり、筆者としては本演奏の方をより上位に掲げたい(カラヤンを好まない聴き手には、これらの旧盤の方がより好ましい演奏に聴こえることも十分に考えられるところである)。
いずれにしても、本演奏は、全盛期のカラヤン&ベルリン・フィルが醸成した究極の美の世界、そしてカラヤン流の美学が具現化された究極の絶対美の世界を堪能することが可能な極上の美を誇る名演と高く評価したい。
併録の劇音楽『ロザムンデ』からの抜粋であるバレエ音楽第1番及び第2番も、カラヤンの美学に貫かれた素晴らしい名演だ。
音質は、従来CD盤でも比較的満足できる音質であり、数年前にリマスタリングも施されたことによって、音質はさらに鮮明になるとともに音場が幅広くなったように感じられるところであり、筆者も当該リマスタリングCD盤を愛聴してきたところだ。
しかしながら、今般、ついに待望のSACD化が行われることによって大変驚いた。
従来CD盤やリマスタリングCD盤とは次元が異なる見違えるような鮮明な音質に生まれ変わった。
いずれにしても、カラヤン、そしてベルリン・フィルによる素晴らしい名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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