2013年10月11日
ライナー&シカゴ響のバルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 5つのハンガリー・スケッチ
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本盤に収められた「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」は、まさに強烈無比な演奏と言える。
本演奏でのライナーのアプローチは、やや速めのテンポで曲想を描き出しているが、全体として引き締まった音楽が特徴であり、飾り気がいささかもないいわば辛口の演奏で一貫しているとさえ言える。
そして、演奏全体に漲っている気迫や張り詰めた緊迫感には尋常ならざるものがあり、我々聴き手も本演奏の始まりから終わりまで手に汗握るような緊張感を強いられるほどだ。
もっとも、このように強烈無比な演奏とは言っても、決していわゆる血も涙もない演奏には陥っていない。
一聴すると素っ気ない表情の各フレーズの端々から聴き取ることが可能な奥深い情感は、抗し難い魅力に満ち溢れている。
古今東西の指揮者による同曲の演奏の中でも、これほどまでに楽曲の心眼に鋭く踏み込んだ彫りの深い演奏を行ったものは、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル(1965年)以外には類例を見ないところであり、ムラヴィンスキー盤の音質がいささか良好とは言い難いことを考慮に入れると、本演奏こそは、同曲のあらゆる名演に冠絶する至高の超名演との評価をするのにいささかも躊躇するものではない。
ライナーによる確かな統率の下、素晴らしい演奏を成し遂げたシカゴ交響楽団による超絶的な技量も、本名演に大きく貢献しているのを忘れてはならない。
併録の「5つのハンガリー・スケッチ」は、民謡の採取に生涯をかけたバルトークならではの比較的親しみやすい民族色溢れる名作であるが、ここでは、ライナー&シカゴ交響楽団が「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」とは別人のような温もりのある演奏を繰り広げているのが素晴らしい。
今から50年以上も前のスタジオ録音であるが、XRCD化によってきわめて鮮明な音質に蘇ったところであり、ライナーによる超名演をこのようなXRCDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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