2013年10月12日

ヤング&ハンブルク・フィルのブルックナー:交響曲第1番


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かつては音楽学者の研究対象に過ぎなかったブルックナーの交響曲の初稿が、近年では立派な芸術作品としての地位を獲得しつつある。

それはインバルが1980年代後半にフランクフルト放送交響楽団とスタジオ録音した、原則として初稿を使用した初のブルックナー交響曲全集が起爆剤になったからであり、その後はティントナーやケント・ナガノなどによる優れた名演が数多く生み出されるようになってきているところだ。

シモーネ・ヤングも、そのような初稿を尊重する指揮者の一人であり、これまで「第2」、「第3」、「第4」及び「第8」を録音しているが、いずれも素晴らしい名演に仕上がっている。

そして、シモーネ・ヤングは今般「第1」に挑戦することになったが、これまた素晴らしい名演と高く評価したい。

使用楽譜はもちろん初稿であるが、本演奏ではキャラガン校訂による初稿を使用している。

「第1」の演奏においては、近年ではブルックナーが最晩年の1891年に大幅な改訂を行ったウィーン稿を使用するのが一般的であり、1877年に改訂を行ったリンツ稿を使用するのは稀になりつつあるが、シモーネ・ヤングによるキャラガン校訂版の使用は、リンツ稿よりもさらに遡った同曲の原型を追及しようというものであり、ティントナー以外には同版の使用例が見られないことからしても極めて貴重なものと言える。

そして、版の問題だけでなく演奏内容も素晴らしい。

シモーネ・ヤングのアプローチは、女流指揮者離れした悠揚迫らぬテンポ設定による堂々たるものだ。

各楽器を力の限り強奏させている(とりわけ第1楽章及び終楽章の終結部は壮絶なド迫力)が、いささかも無機的に陥ることがなく、そして情感の豊かさを失わないのが素晴らしい。

全体の造型は堅固であるが、スケールは雄大であり、音楽全体の構えが大きいのが見事である。

また、第2楽章など緩徐的箇所における抒情的な美しさは、あたかも聖フローリアンを吹く一陣の風のような趣きがあり、これは女流指揮者シモーネ・ヤングの真骨頂と言えるだろう。

いずれにしても本演奏は、ブルックナーの交響曲を鑑賞する醍醐味を全て兼ね備えていると言えるところであり、キャラガン校訂版を使用した「第1」としては、史上最高の名演と評価しても過言ではあるまい。

さらに本盤で素晴らしいのは、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。

かかる臨場感溢れる高音質録音は、本名演の価値をさらにグレード・アップすることに大きく貢献していることを忘れてはならない。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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