2013年10月15日
高橋多佳子のシューマン:クライスレリアーナ、謝肉祭、トロイメライ
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こんなにゆったりとした気持ちでシューマンのピアノ曲を味わうことができたのは初めてだ。
2010年はシューマン生誕200年記念の年であったが、そうした記念の年に相応しい素晴らしい名演CDと高く評価したい。
いずれも名演であるが、特に感動したのは「謝肉祭」。
この「謝肉祭」は、私見では、史上最高の名演と言っても過言ではないのではなかろうか。
前口上の力強い開始。
一転して抒情的な高貴なワルツやオイセビウス、スフィンクスのおどろおどろしい不気味な世界を経て、蝶々やA.S.C.H.−S.C.H.Aのリズミカルな軽快感、ショパンの優美さ、そしてパガニーニの巧みな演出など。変幻自在の表現力の幅の広さには大変感心させられた。
そして、ぺリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進の威風堂々たる演奏には風格を感じるほどで、この名演を最高の形で締めくくっているのである。
「謝肉祭」には、やたら理屈っぽい演奏で、シューマンの豊かなファンタジーをスポイルさせてしまう駄演も散見されるが、これほどまでに音楽それ自体を楽しませてくれる演奏は珍しく、聴いていて思わず微笑んでしまうほどだ。
これぞ「謝肉祭」の理想の演奏であり、史上最高の名演と評価する所以である。
次いで、「トロイメライ」の繊細な演奏を掲げたい。
これはいかにも女流ピアニストだけがなし得る至純の美しさに満ち溢れている。
「クライスレリアーナ」も名演であるが、こちらはシューマンの最高傑作だけに、他にもライバルが多く、高橋の名演が随一というわけにはいかない。
それでも、圧倒的な技量と緩急自在の巧みなテンポ設定など、さすがと思わせる箇所も多い。
録音は、SACDによる極上の高音質であり、全く言うことがない。
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