2013年10月22日
江崎昌子のショパン:ノクターン全集
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筆者は、江崎昌子のマズルカ全集におけるセンス満点の素晴らしい名演に接してから、彼女が発売するショパンのピアノ作品集の演奏に注目してきたところである。
エチュード集にしても、はたまたピアノ・ソナタ全集にしても、江崎昌子の類稀なる音楽性とセンスの良さが如何なく発揮された演奏に仕上がっていると言えるところであり、前述のマズルカ全集にも比肩し得るだけの素晴らしい名演と言えるところだ。
そして、本盤のノクターン全集であるが、前述の既発売のピアノ作品集にも優るとも劣らない、そして、まさに我々聴き手の期待がいささかも裏切られることがない圧倒的な名演と高く評価したい。
江崎昌子による本演奏は、マズルカ全集と同様に、ショパンの各楽曲に対する深い洞察力に裏打ちされた、実に考え抜かれた解釈が光っている。
おそらくは、録音に至るまでに何度も同曲を弾きこなすとともに、スコアに記された音符の表層にとどまらず、各曲の音符の背後にある作曲当時のショパンの精神構造や時代背景に至るまで、徹底した追究が行われたのではないかと考えられるところだ。
江崎昌子は、こうした徹底した自己研鑽とスコアリーディングに基づいて、ノクターン全集を構成する各曲を万感の思いを込めて情感豊かに曲想を描き出している。
このように考え抜かれた演奏を旨としてはいるが、理屈っぽさや生硬さは皆無であり、音楽が滔々と自然体に流れるとともに、ノクターンの美しさや魅力を聴き手にダイレクトに伝えることに成功しているのが素晴らしい。
加えて、ショパンの演奏に時として聴かれる陳腐なロマンティシズムなど薬にしたくもなく、どこをとっても気高い品格と洒落た味わいを兼ね備えているのが素晴らしい。
もちろん、ルービンシュタインやフランソワ、コルトーなどによる歴史的な超名演などと比較すると、いわゆる強烈な個性にはいささか不足していると言えなくもないが、ノクターン全集を安定した気持ちで味わうことができるという意味では、これまでの様々なピアニストによる同曲の名演にも引けを取らないところであり、少なくとも、我が国の女流ピアニストによるショパンの演奏としては、間違いなく最右翼に掲げられるべき圧倒的な名演と評価しても過言ではあるまい。
音質は、SACDによる極上の高音質録音であり、江崎昌子のピアノタッチが鮮明に再現されるのは実に見事であると言えるところであり、本名演の価値をより一層高めるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
いずれにしても、本盤は、江崎昌子による素晴らしい名演と極上の高音質録音が相俟った名SACDと高く評価したい。
マズルカ全集と同様に、ライナーノーツに、江崎昌子によるノクターン全集の各曲の寸評が掲載されているのも、本盤の演奏をより深く理解する意味において大変貴重である。
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