2015年05月22日

ジュリーニ&ウィーン・フィルのブラームス:交響曲全集、他


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



本盤に収められたブラームスの交響曲全集はジュリーニによる2度目の全集に相当する。

最初の全集が、フィルハーモニア管弦楽団との1960年代の録音(1960、1962、1968年)であったことから、本演奏はそれから約30年後の録音である。

もっとも、ジュリーニは、その間にもロサンゼルス・フィルとともに第1番(1981年)及び第2番(1980年)をスタジオ録音するとともに、バイエルン放送交響楽団とともに第1番をライヴ録音(1979年)していることから、ジュリーニはブラームスを得意中の得意としていたと言っても過言ではあるまい。

また、本盤の演奏は、今後ライヴ録音などが発売されれば事情が変わる可能性もあるが、現時点ではジュリーニによる最後のブラームスの交響曲の演奏ということでもあり、ある意味ではブラームスを得意としたジュリーニによる最終的な解釈が刻印されていると言えるのではないだろうか。

本演奏は、これまでの演奏と異なって、実にゆったりとしたテンポをとっている。

また、反復も原則として行っており、演奏時間もこれらの楽曲の演奏の中ではきわめて長い部類に入るものと考えられる。

テンポもあまり動かさずに悠揚迫らぬインテンポで曲想が進んでいくが、これだけの遅いテンポだと、場合によっては冗長さを感じさせたり、全体の造型が弛緩する危険性も孕んでいる。

しかしながら、ジュリーニの場合は、全体の造型が弛緩することはいささかもなく、各フレーズには独特のニュアンスや豊かな歌心が込められるなど、常にコクのある情感豊かな充実した音楽が構築されているのが素晴らしい。

ここぞという時の強靭な迫力や重厚さにおいてもいささかも欠けることがなく、例えば第1番や第2番の終楽章における圧倒的な高揚感には我々聴き手の度肝を抜くのに十分な迫力を誇っている。

また、第1番の第2楽章、第2番の第2楽章、第3番の第2楽章及び第3楽章、そして第4番の第1楽章及び第2楽章の濃厚で心を込めた情感豊かな歌い方には抗し難い魅力に満ち溢れている。

第4番の終楽章においても、パッサカリアによる表情が目まぐるしく各変奏を巧みに描き分け、巨匠ならではの老獪な至芸を感じさせるのが見事である。

そして、何よりもジュリーニが素晴らしいのは、いかなるトゥッティに差し掛かろうと、はたまた緩徐楽章などにおいて心を込めて歌い上げていようと、格調の高さをいささかも失っていない点である。

とかく重厚で仰々しいブラームスの演奏が数多く行われている中で、ジュリーニによる本演奏が含有する気品と風格は際立っている言えるところであり、ゆったりとしたテンポによるスケール雄大な演奏であることも相俟って、本演奏はまさに巨匠ならではの大人(たいじん)の至芸と言っても過言ではあるまい。

また、ジュリーニの統率の下、これ以上は求め得ないような美しい演奏を展開したウィーン・フィルによる好パフォーマンスも、本名演に大きく貢献しているのを忘れてはならない。

併録のハイドンの主題による変奏曲や悲劇的序曲も、晩年のジュリーニならではのスケール雄大で、重厚さと優美さを兼ね備えた素晴らしい名演に仕上がっていると評価したい。

とりわけ、ハイドンの主題による変奏曲における第7変奏の筆舌には尽くし難い美しさは、ジュリーニとしても空前にして絶後の名演奏と言えるのではないだろうか。

録音は、従来盤でもムジークフェラインザールの豊かな残響を活かした十分に満足できる音質であったが、数年前に第1番及び第4番のみSHM−CD盤で発売され、現在では当該SHM−CD盤がベストの音質である。

もっとも、ジュリーニによる遺産とも言うべき至高の名演でもあり、今後は第2番及び第3番のSHM−CD化、そして可能であれば本全集全体についてシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化を図るなど、更なる高音質化を大いに望んでおきたいと考える。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 20:52コメント(0)トラックバック(0)ブラームス | ジュリーニ 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ