2013年10月26日
クレンペラーのメンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」&序曲「フィンガルの洞窟」
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
本盤には、クレンペラー&フィルハーモニア管弦楽団によるメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」と序曲「フィンガルの洞窟」が収められている。
このカップリングはLP時代のもの(CD時代になってからは、交響曲第3番「スコットランド」と交響曲第4番「イタリア」との組み合わせとなった)であり、その意味では極めて懐かしく感じられるところだ。
「スコットランド」の名演は、これだけの名曲にしては意外にも少ないと言えるのではないだろうか。
独墺系の作曲家による交響曲については、相当の点数の名演が存在するのが通例であるが、「スコットランド」については、本盤に収められたクレンペラーによる演奏がダントツの超名演であり、他はマーク&ロンドン交響楽団による演奏(1957年)やカラヤン&ベルリン・フィルによる演奏(1971年)、アバド&ロンドン交響楽団による演奏(1984年)が掲げられる程度。
シューマンの交響曲全集で素晴らしい名演を成し遂げたバーンスタインによるイスラエル・フィルとの演奏(1979年)も、決して凡庸な演奏とは言えないものの、今一つ魅力に乏しい演奏にとどまっている。
それにしても、本盤のクレンペラーによる演奏は、録音から既に50年以上が経過しているにもかかわらず、今なお同曲最高の超名演の座に君臨しているというのは、殆ど驚異的ですらある。
悠揚迫らぬテンポによる演奏であり、その古武士のような風格と、奥行きのある深沈たる味わいには、抗し難い魅力に満ち溢れている。
第2楽章のゆったりとしたテンポによる味の濃い音楽は、他の指揮者によるどの演奏よりも図抜けた芸術性を発揮していると言っても過言ではあるまい。
終楽章の終結部において、クレンペラーは、後年のバイエルン放送交響楽団との演奏(1966年)で、冒頭部の主題に改編して演奏しているが、本盤の雄渾にしてスケール雄大な名演を聴いていると、原作に忠実な本演奏の方がより優れているのではないかと感じられてくる。
序曲「フィンガルの洞窟」も、「スコットランド」と同様に、その雄渾なスケール感に圧倒される。
ゆったりとしたインテンポによる演奏で、特に、何か特別な解釈を施しているわけではないが、その深沈たる内容の濃さは、他のいかなる名演をも凌駕する至高のレベルに達していると高く評価したい。
音質は、1960年のスタジオ録音であり、従来CD盤では今一つ冴えない音質であったが、数年前に発売されたHQCD盤は、若干ではあるが音質が鮮明になるとともに、音場が幅広くなった。
しかしながら、今般、ついに待望のSACD化が行われることによって、そもそも次元が異なる見違えるような鮮明な音質に生まれ変わった。
音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。
いずれにしても、クレンペラーによる至高の超名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。