2013年11月11日
チョン・ミュンフン&ウィーン・フィルのドヴォルザーク:交響曲第6番&第8番
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本盤には、チョン・ミュンフン&ウィーン・フィルによるドヴォルザークの交響曲第6番及び第8番が収められている。
このうち、第6番についてはチョン・ミュンフンにとって初めての録音ということになるが、他方、第8番については、エーテボリ交響楽団との演奏(1989年)以来2度目の録音ということになる。
いずれも素晴らしい名演と高く評価したい。
それにしても、この当時のチョン・ミュンフンの演奏は凄かった。
最近では、その芸風に円熟味が加わったものの、やや元気がないチョン・ミュンフンではあるが、1980年代後半から1990年代にかけては、本演奏を含め圧倒的な名演の数々を成し遂げていたと言えるだろう。
本演奏におけるチョン・ミュンフンは、この時期の他の演奏にも共通しているが、ひたすら曲想を前に進めていこうという気迫と、灼熱のように燃え上がる情熱に裏打ちされた圧倒的な生命力に満ち溢れていた。
それ故に、テンポは若干速めのものであるが、それでいて演奏が上滑りになったり、薄味の演奏に陥るということはいささかもなく、どこをとっても豊かな情感に満ち溢れているのが素晴らしい。
また、チョン・ミュンフンは必ずしもインテンポに固執しているわけではない。
一聴すると、音楽はやや速めのテンポでごく自然に滔々と進行していくが、随所においてテンポを微妙に変化させたり、はたまた格調の高さをいささかも損なうことなく個性的な表情づけを行ったりするなど、演奏の密度の濃さには尋常ならざるものがある。
そして、本演奏をさらに魅力的なものにしているのは、ウィーン・フィルによる美しさの極みとも言うべき名演奏であると言えるだろう。
チョン・ミュンフンの音楽性豊かな指揮の下、極上の美演を展開したウィーン・フィルに対しても大きな拍手を送りたい。
チョン・ミュンフンは、ウィーン・フィルとともに既にドヴォルザークの交響曲第3番及び第7番の録音(1995年)を行っているが、本演奏以後は録音が途絶えているところである。
本演奏の素晴らしい出来具合などに鑑みれば、チョン・ミュンフンには是非ともウィーン・フィルとともに、ドヴォルザークの交響曲全集を完成させて欲しいと思っている聴き手は筆者だけではあるまい。
録音は、従来盤でも十分に満足できる音質ではあるが、チョン・ミュンフンによる素晴らしい名演でもあり、今後はSHM−CD化、そして可能であればシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化を図るなど、更なる高音質化を大いに望んでおきたい。
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