2013年11月15日
クナッパーツブッシュ&ミュンヘン・フィルのブルックナー:交響曲第5番
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1959年3月19日 ミュンヘンでのライヴ録音。
クナッパーツブッシュには、Archipelレーベルからミュンヘン・フィルとの「第5」のライヴ録音が発売されており、DECCA盤を上回る名演とマニアに大人気の演奏。
個性の強い演奏だが、ブルックナー指揮者として一世を風靡した巨匠だけに、その彫りの深さと、悠然とした音楽の運びは、見事としか言いようがない。
演奏は全体に、ライヴのクナッパーツブッシュならではのアクティヴな音楽の表情、強烈なコントラストと味のあるアゴーギクがたいへんに効果的なもので、第1楽章冒頭のピチカートから、ドスの効いた低音と動的な表情が堪らない。
第3主題も素朴な逞しさと無垢な美しさが並存する見事な演奏であり、絶妙すぎるテンポ・ルバートと共に忘れがたい感銘を与えてくれる。
クナッパーツブッシュが愛好した「シャルク改訂版」による演奏のため、原典版に慣れた耳には驚く個所もいくつかあるが、第4楽章フーガおよび二重フーガにおけるティンパニ追加や、コーダでの賑やかな打楽器追加など、演奏が良いため、むしろ効果的と思える部分も少なくないのが面白いところである。
全曲のクライマックスである第4楽章コーダでのとんでもなく巨大なスケール感と凄まじいエネルギーには、あらためてクナッパーツブッシュの音楽の底知れぬ魔力に呪縛されてしまうこと請け合いだ。
前述したように、金管やティンパニを賑やかに鳴らし放題に鳴らした凄絶な演奏であるが、スタジオ録音と比べ、どちらか一方がクナッパーツブッシュの本質ということは言い切れないと思う。
それ故スタジオ録音で聴かせた優美さとライヴの豪放さのどちらもがクナッパーツブッシュ芸術の真骨頂であることは間違いない。
もしクナッパーツブッシュが後者だけの単純な演奏家であれば、バイロイトの「パルジファル」のような神聖な演奏は不可能であったはずだ。
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