2013年11月17日
テンシュテット&ロンドン・フィルのワーグナー:管弦楽曲集
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1992年8月20日、ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音。
演奏、録音ともに揃った素晴らしいディスクで、テンシュテットの真価を味わうことができる超名演である。
かつてNHKで放映された同年のワーグナー・ライヴも超弩級の破格の名演だったが、今回ディスク化された音源も素晴らしい出来映えである。
ここには、テンシュテット最晩年の病魔と闘うという鬼気迫るような凄まじい緊迫感が感じられる。
テンシュテットは例によって異常なハイ・テンションであり、ロンドン・フィルがドイツのオケ顔負けの渾身の力を出して応えている。
テンシュテットの圧倒的な統率の下、うなりあげるような低弦の重量感溢れる迫力やティンパニの雷鳴、天国的な美しさを誇る高弦の囁き、悪魔的な金管の最強奏など、いずれも素晴らしい。
ワーグナーを聴く醍醐味がここにあり、殊にクライマックスでのテンシュテット節炸裂は凄絶。
ワーグナー芸術の持つ祝祭性と官能、陶酔の輪舞がテンシュテットの桁外れの表現力により余すところなく描きつくされている。
インテンポではなく、楽劇(歌劇)全体を意識した緩急自在のテンポ設定や、思い切ったダイナミックレンジの幅の広さが特徴ではあるが、音楽がそうした指揮によって矮小化することなく、スケールの大きさをいささかも損なうことがないのが素晴らしい。
爆演系とのレッテルが貼られがちなテンシュテットだが、大変に実力のある指揮者だからこそここまで演奏ができる、という点が見落とされがちであり、オケのコントロールといい、スコアの読みといい、素晴らしい演奏内容である。
音質も今まで出た正規ライヴ盤の中でも最高級で、音抜け、ティンパニの轟音、シンバルの立体的な響き、そして会場の雰囲気等々CDでもかなり再現できている部類に入るのではないだろうか。
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