2013年11月19日
小澤征爾&ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 2002 完全収録盤
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小澤征爾指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による、2002年1月1日にウィーン・ムジークフェラインザールで行われたニューイヤー・コンサートの模様を完全収録した2枚組ライヴ盤。
小澤征爾が日本人、いやアジア人として初めて、60余年の歴史を誇る伝統のニューイヤー・コンサートに登場した記念碑的な佳演である。
ハプスブルク王朝時代からの伝統文化を継承する世界最高のオーケストラ、ウィーン・フィルは、ユーロ通貨開始の国際的記念の年に、ヨーロッパを代表し、三顧の礼をもってアジアの偉大なマエストロを迎え入れたのである。
この録音はその歴史的なドキュメントでもある。
この重大な演奏会にあたって小澤は普段にも増して綿密な準備で臨み、ウィーン・フィル楽員もそれに最高の演奏で応えている。
小澤は、決してウィンナ・ワルツを得意とする指揮者とは思えないが、ここでは、相性のいいウィーン・フィルを巧みにドライブして、気品のある優雅な円舞曲の饗宴を演出している。
「こうもり」序曲でのロザムンデのアリアの哀愁のメロディでの滴り落ちるような美音、「悪魔のダンス」でのたたみかけるようなエネルギッシュな迫力、「ウィーン気質」での弧を描き、弓がしなるような独特の緩急自在なリズム、「チック・タック・ポルカ」での息を呑むスピード感、そして「美しく青きドナウ」で微妙に甘く漂う葡萄酒のような芳香、「ラデツキー行進曲」での小澤ならではの楽しさいっぱいの和やかさ、すべてが素晴らしい。
多くの批評家も同様の見解を示しているようであるが、これらの中で最も小澤らしい名演は、初登場の「悪魔のダンス」ということになろう。
ブラボー入りの熱狂的な拍手もなるほどと思わせるほどの、圧倒的な迫力である。
それにしても、小澤の全身から発される生命力のオーラは本当に凄い。
人種も文化の違いも越えて、誰もが魅惑されてしまう。
ウィーンで小澤が聴衆にも音楽家たちにも絶大な人気を誇るのは当然だろう。
この演奏全体で特に感じられたのは、音楽全体に「愛と幸福のしるし」が満ち満ちていることである。
困難と不安のなかで迎えた2002年の冒頭にあたって、「これから再び明るい時代がきっとやってきます! 希望に満ちたいい年になりますように!」という熱くポジティヴなメッセージがここで発信されたことの精神的意味はとても大きかったのかもしれない。
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