2013年11月20日
スヴェトラーノフ&スウェーデン放送響のレスピーギ:『ローマ三部作』
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凄い演奏だ。
スヴェトラーノフの『ローマ三部作』と言えば、爆演とも評されたソヴィエト国立交響楽団(現ロシア国立交響楽団)との1980年盤があり、それは、スヴェトラーノフならではの重厚でパワフルに押し切るという重量級の演奏であった。
当該盤の約20年後の本演奏においては、そうした重量級の芸風を保ちつつも、テンポがよりゆったりとしたものとなるとともに、表現力の幅が非常に広くなり、音楽全体のスケールが雄大になった点を高く評価したい。
《ローマの噴水》は、「夜明けのジュリアの谷の噴水」の繊細で情感豊かな音楽を聴いていると、スヴェトラーノフも最晩年になって大人しくなったのではないかと思ってしまいがちであるが、「昼のトレヴィの噴水」でそうした思いは早速撤回を余儀なくされる。
ここでの凄まじい大音響は、あたかもあたり一面が大洪水になったかのような圧巻の迫力だ。
《ローマの祭り》は、まさにスヴェトラーノフの独壇場。
「チルチェンセス」はゆったりとしたテンポによる粘着質の音楽であるが、猛獣の唸り声を模した金管楽器の咆哮は凄まじいの一言。
他の指揮者による演奏では、終結部において猛烈なアッチェレランドをかけるのが常であるが、スヴェトラーノフは堂々たるインテンポで大音響を炸裂させ、阿鼻叫喚の世界を構築する。
「五十年祭」のテンポはさらに遅く、トゥッティにおけるトランペットの耳をつんざくような音色は強烈そのもの。
超スローテンポと相俟って、あたかも巨大な壁画を思わせるような壮大な音響世界の構築に成功している。
「主顕祭」は、スヴェトラーノフ節全開。
堂々たるゆったりとしたインテンポで、すべての楽器を力の限り咆哮させており、狂喜乱舞とも言うべき圧倒的な熱狂の下に全曲を締めくくっている。
《ローマの松》も、「ボルジア荘の松」のゆったりとしたテンポによる粘着質の音楽からしてユニークであるが、凄いのは「アッピア街道の松」。
あたかも旧ソヴィエト軍の示威進軍のような圧巻の迫力を誇っており、特に終結部のいつ終わるとも知れない強引さには、完全にノックアウトされてしまった。
いずれにせよ、本演奏は、過去の『ローマ三部作』の名演とは一味もふた味も異なる異色の演奏とは言えるが、聴き終えた後の充足感においては、過去の名演に一歩も引けを取っていない。
スヴェトラーノフの個性的な指揮の下、スウェーデン放送交響楽団も一糸乱れぬアンサンブルで最高のパフォーマンスを示している点も高く評価したい。
録音も鮮明で文句のつけようのない素晴らしさだ。
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