2022年06月13日
往年の2大女流ピアニストの超貴重演奏を収録した好企画盤👸エリー・ナイ&ベームのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番<皇帝>/リリー・クラウスの同:ピアノ・ソナタ第30番
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往年の2大女流ピアニストの超貴重演奏を収録した好企画ディスクである。
女帝エリー・ナイと若きべームによるベートーヴェン『皇帝』、日本でも絶大な人気を誇った、モーツァルト、シューベルト弾きとして名高いリリー・クラウスによるソナタ第30番というカップリングの現役盤だ。
輸入盤で一連の録音が発売され、近年注目を浴びている名女流ピアニストのエリー・ナイはその活躍の割には録音が少ない部類であるが、ベートーヴェン『皇帝』のナイの貴重な演奏を堪能することができる。
まず出だしのカデンツァからして豪快な弾きっぷりに驚かされる。
まだ若いべームがついていくのがやっとのように、自由奔放、自己流の『皇帝』なので、現代のピアニストが聴いたら少し呆然とするかもしれない。
ペダルは踏みっぱなし、多少のミスもお構いなし、「私はエリー・ナイよ!」と音が言っているかの如く、皇帝ならぬ女帝ぶりが聴いていて大変面白いところだ。
べームも若いといいながらも既にウィーン・フィルをバックにナイに挑んでいる事を考えれば、当時は中堅でその実力を認められていた存在だったにも関わらず、完全に主導権はナイが握っていると言える。
一説によると、この演奏はマグネトフォン録音だったとも言われ、確かに当時としては録音は良い方であり、ナイのピアノの音の強弱・表情付けは非常によくわかる。
マイクの場所が制限されていたのか、オケについては弦楽器が強く、木管、金管はやや遠めに聴こえ、鋭いがキンキンした音ではないのが幸いして迫力は十二分に伝わるものである。
もう一人の名女流ピアニストは、日本でも人気が高いリリー・クラウス。
クラウスといえばモーツァルト、シューベルトといった録音が知られ、その演奏についての評価も高く、評論家宇野功芳氏も愛してやまないピアニストだ。
そのクラウスのベートーヴェンの第30番の演奏を聴いてまた驚いた。
第30番の内容は変奏曲風で、下手なピアニストの演奏では退屈極まりない駄曲になってしまいがち。
クラウスの紡ぎ出す一音一音が非常に清楚でチャーミングで、力強さの中に見せるベートーヴェン後期の柔らかい楽想が良くわかる演奏と言える。
個性豊かな2人の名女流ピアニストによる、珠玉のベートーヴェンを是非この機会に聴いてみて欲しい。
両曲ともLPからの復刻の為、それに伴うノイズ、歪みなどがあるが、観賞の妨げになるほどではない。
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