2013年12月01日
グールド&カラヤンのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
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グールドとカラヤンという異色の組み合わせが話題を呼んだ、1957年のベルリンでの記念碑的なコンサートにおける歴史的な演奏の登場だ。
ジャケットのカラヤン、グールド2人のまだ若き時代の演奏家としての姿が印象的なCD。
本演奏はモノラル録音であり、音質も必ずしも鮮明とは言い難いが、本盤の登場は、その演奏の質の高さや歴史的な価値に鑑みて、大いに歓迎すべきである。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番であるが、これが意外にもまともな演奏であるというのに大変驚かされた。
聴く前は、グールドが何か聴き手を驚かすような奇手を講ずるのではないかと思ったのだが、そのアプローチは実にオーソドックスそのもの。
バーンスタインを辟易させるような超スローテンポで演奏した、ブラームスのピアノ協奏曲第1番とは別人のような正統的なテンポで、堂々たるピアニズムを披露している。
親しくもないカラヤンの前で萎縮したのかここでのグールドはエキセントリックさは影をひそめ、それがかえって青春の瑞々しい叙情を表現している。
カラヤンはいつもの流麗さだが、ライヴのせいか熱さでグールドに応えている。
帝王への道を駆け上がりつつあったカラヤンへの遠慮や崇敬もあったのかもしれないが、いずれにしても、重厚で立派な名演であることは疑いようがない。
ベルリン・フィルも、オーケストラの音色などにいまだフルトヴェングラー時代の残滓があった時期でもあり、壮年期のカラヤンによる気迫溢れる指揮とその圧倒的な統率の下、ベルリン・フィルが醸し出すドイツ風の重心の低い音色によって、グールドのピアノをしっかりと下支えしているのが素晴らしい。
本盤で惜しいのは、前述のように、録音が鮮明とは言えない点であるが、1957年という、今から50年以上も前のライヴ録音であるということに鑑みれば、致し方がないと言えるのかもしれない。
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