2013年12月05日
バレンボイムのバッハ:平均律クラヴィーア曲集全曲
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先の来日で十数年振りにピアニストとしての公演を行い、平均律クラヴィーア曲集の全曲演奏という珍しいプログラムを敢行、大変な高評価を得たダニエル・バレンボイム。
2004年にリリースした第1巻と2005年の第2巻が、セットで発売されることになった。
バレンボイムは、規模が大きく並外れた深みが必要とされる作品で、特に真価を発揮するアーティストであり、この『平均律』でも驚異的な名演を聴かせている。
ここでバレンボイムがとったアプローチは、チェンバロ演奏とは大きく異なる、ピアノならではの特性を徹底的に生かした見事なもので、ペダルを駆使し、千変万化するタッチによって、たっぷりとしたスケールの中に深く美しく思索的に再現されるバッハの音楽には圧倒されるほかはない。
これほどまでにピアニスティックにこの作品を演奏したものもなかなかないと思う。
ただ、個人的にはこういう演奏も愉しめるが、これはバッハじゃないという意見も聞こえてきそうだ。
それ故、この演奏、かなり聴く人の好みが問われる演奏だろうと思う。
教科書的な演奏が好きな人には耐えられまいが、筆者は好きだ。
何よりもピアノというある意味単調な楽器から、バレンボイムが持てる技術を尽くして、多彩な表情、音色を引き出している点。
フーガが流れているという批判があったが、対位法を十分引き出しつつ、流れるように歌うこの演奏のどこが問題だというのだろうか。
ごつごつと弾かれるフーガよりも筆者にはよほど魅力的だ。
『平均律』にありがちなどれを聴いても単調に聴こえる感じではなくて押し寄せてくるような強弱の波がくる演奏が魅力的。
そんな中でも呼吸と同調するような心地良いリズムが飽きない良さであろうか。
まるでオーケストラが弾いているような多彩な表情を見せてくれるバッハだ。
バレンボイムの作品への深い尊敬と共感に満ちた素晴らしい演奏と言えるだろう。
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