2013年12月11日

ラトル&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲第9番(第4楽章付)補筆完成版


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ラトル&ベルリン・フィルの近年の好調ぶりを窺い知ることが可能な素晴らしい名演だ。

ラトルと言えば、マーラーの交響曲を得意のレパートリーとしており、既にベルリン・フィルとともに複数の録音を行っているところであるが、ブルックナーの交響曲については、ベルリン・フィルとの間では、未だ第4番の録音(2006年)を行っているのみにとどまっている。

当該第4番の演奏が、気負いだけが際立った当時のラトルの欠点が露わになった凡庸な演奏であり、その意味では、ラトルはこの6年間の間に、長足の進歩を遂げていると言っても過言ではあるまい。

とにかく、ラトルがこれだけの進歩を遂げた要因として掲げられるのは、ラトルがベルリン・フィルを完全に掌握し、自らの意のままに統率することが可能になったことであると考えられる。

したがって、ベルリン・フィルの芸術監督の就任後、数年間にわたって、意欲だけが空回りして凡庸な演奏を繰り返すという悪循環から抜け出し、自らの才能を、ベルリン・フィルという世界最高のオーケストラを完全に掌握して全面的に発揮することが可能になったと言えるのではないだろうか。

本盤に収められた演奏においても、そうしたラトルの類稀なる才能が全開である。

ベルリン・フィルによるブルックナーの交響曲演奏と言えば、最晩年のヴァントによる至高の超名演が名高いが、ラトルは、さすがにヴァントの至高の芸術の高峰には到達し得ていないものの、ベルリン・フィルの重厚な弦楽合奏や強靭なブラスセクションなどを効果的に生かした、圧倒的な名演を成し遂げていると評価したい。

テンポの振幅なども最小限に抑えるなど、近年のブルックナーの交響曲演奏の王道を行くアプローチに徹しているのも素晴らしい。

また、ラトルらしいのは、従来の第1楽章から第3楽章に加えて、最新の研究成果に基づく第4楽章補筆完成版を付加して録音している点である。

筆者としても、これまで様々な第4楽章の補筆版を聴いてきたところであるが、本盤に収められた版は初めて聴く版ではある。

ライナー・ノーツにも詳細な解説が記載されているが、当該版は、ブルックナーが死の直前まで格闘して作曲をしていた原譜に限りなく近いものとして評価することも可能である。

このような第4楽章補筆版を付加すると、第1楽章から第3楽章の演奏がややなおざりになる可能性も無きにしも非ずであるが、第3楽章までの演奏も前述のように圧倒的な名演であり、第4楽章補筆版を付加したことによる演奏の綻びなども微塵も感じさせないのが見事である。

いずれにしても、本演奏は、前述のように、ラトル&ベルリン・フィルの近年の充実ぶりを示すとともに、今後のブルックナーの他の交響曲の録音にも大いに期待を持つことが可能な素晴らしい名演と高く評価したい。

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コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2014年08月25日 16:16
私がこの曲が好きになったのは、2009年年末、シューリヒト&WPでした。その後、ヴァント&ミュンヒェンフィル、70年代カラヤン&WP、ジュリーニ&WPと移り、今は、1-3楽章をMr.S&読売日響で。セルの録音がないのが惜しいかつ、ブル8セルの第3楽章のテンポを考えると、改めて第3楽章は、ジュリーニ&WPも変わらず好きです。個人的には、木管の等質性があって前に出ればというのが私的1位ですが。月380時間、ピーク時400時間超、4日間職場拘束うち眠れたのはそのうち4時間の中、第3楽章で死を考え、最後の数週間、ラトルの第4楽章に背中を押されて生きていた頃を思い出します。今の私にとっては、モーツァルト交響曲第41番と並ぶ、交響曲の座右の銘です。今でもラトルのフィナーレのコーダを聴くと、体が震え躍動感と高揚感に包まれます。マーラーも8と10番は好きですし、シェーンベルク、コルンゴルト、シュレーカー、ショスタコーヴィチの交響曲も好きですが、聴き始めると何時間も聴いてしまうのは、この曲の補筆された第4楽章ですね。本人は完成できませんでしたが、この完成を聴いて、喜んでいるのではないでしょうか。そう思えてきます。
2. Posted by 和田   2014年08月25日 19:53
私もシューリヒト&ウィーン・フィルの名演によって、ブル9に開眼させられた1人です。

セルの録音はありませんが、ベームも録音していないのですね。不思議なことです。

補筆完成版としては、アイヒホルン盤も聴き逃せません。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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