2013年12月17日
アダージョ・カラヤン・プレミアム
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世界中でベストセラーになったカラヤン最大のヒット作である。
カラヤン最大のヒット作ということは、おそらくはクラシック音楽史上でも最高のヒット作ということになるのであろうが、アンチカラヤン派の方々からは、そもそもこのようなCDの企画自体が、生前に音楽家ではなくセールスマンだと揶揄されたカラヤンならではの所業であるとの強烈な批判が寄せられることは十分に想定されるところだ。
しかしながら、本CDは、芸術性をどこかに置き忘れた単なる低俗な人気取り商品であるかと言うと、必ずしもそうとは言い切れないのではないだろうか。
というのも、本盤に収められた楽曲がいずれも名旋律で彩られたポピュラーな名作であるのみならず、演奏自体もいずれも素晴らしい名演であるからだ。
カラヤン&ベルリン・フィルは、クラシック音楽史上でも最高の黄金コンビであったが、特に全盛期でもあった1960年代から1970年代にかけての演奏はとにかく凄かった。
この当時のカラヤン&ベルリン・フィルの演奏は、分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの響き、桁外れのテクニックをベースに美音を振り撒く木管楽器群、そして雷鳴のように轟きわたるティンパニなどが、鉄壁のアンサンブルの下に融合し、およそ信じ難いような超絶的な名演奏の数々を繰り広げていた。
カラヤンは、このようなベルリン・フィルをしっかりと統率するとともに、流麗なレガートを施すことによっていわゆるカラヤンサウンドを醸成し、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマを構築していた。
本盤に収められた演奏の中には、一部にカラヤンの統率力に陰りが見られた1980年代の演奏(特に、ブラームスの交響曲第3番第2楽章とシベリウスの「悲しきワルツ」)も含まれてはいるが、大半の演奏はまさにカラヤン&ベルリン・フィルの全盛期の圧倒的な音のドラマが健在である。
もちろん、本演奏には、フルトヴェングラーが指揮した演奏に顕著な音楽の内容の精神的な深みの徹底した追求は薬にしたくもないが、これだけの圧倒的な音のドラマを構築したカラヤンによる名演との優劣を付けることは困難である。
また、カラヤンの演奏は、音のドラマの構築に特化しているため、何色にも染まっていない演奏とも言えるところであり、初心者には安心しておすすめできる演奏である反面、クラシック音楽の熟達した聴き手には、楽曲への理解力が試されるむしろ玄人向きの演奏であるという側面も有しているのではないかと考えている。
いずれにしても、本盤に収められた演奏は、いずれもカラヤン、そしてベルリン・フィルが構築した圧倒的な音のドラマを味わうことが可能な至高の超名演であると高く評価したい。
特に、「タイスの瞑想曲」におけるミシェル・シュヴァルべによるヴァイオリン・ソロの蕩けるような美しさには抗し難い魅力が満ち溢れており、あまりの美しさに涙なしでは聴けないほどだ。
録音は、従来盤でも十分に満足できる音質であったが、数年前にカラヤン生誕100年を記念して発売されたルビジウムカッティングによるSHM−CD盤がベストの音質である。
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