2013年12月20日
ティーレマンのモーツァルト:レクイエム
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近年ではモーツァルトの楽曲の演奏においても、ピリオド楽器の使用や現代楽器を使用した古楽器奏法などが主流になりつつある。
確かに、モーツァルトの時代の演奏様式を再現することは歴史的には意義の大きいことであるが、芸術的な感動を与えてくれる演奏というのは果たしてどの程度あるのであろうか。
著名な音楽評論家が推奨する演奏ですら、浅薄でとても聴くに堪えないものも散見されるところであり、私見では、かかるピリオド楽器の使用や現代楽器を使用した古楽器奏法による芸術的な名演というのはほんの一握りではないかと考えている。
クラシック音楽ファンにとっては、芸術的な感動を与えてくれる演奏であればそれで十分であり、音楽学者の学問的な関心などどうでもいいのである。
本盤に収められたモーツァルトのレクイエムは、ピリオド楽器の使用や古楽器奏法などの近年の演奏様式に一切背を向けた、大編成のオーケストラを活用した壮麗な演奏だ。
近年の古楽器奏法やピリオド楽器による軽妙な演奏に慣れた耳でこのような演奏を聴くと、あたかも故郷に帰省した時のように安定した気持ちになるのは筆者だけではあるまい。
そして演奏内容も素晴らしい。
このような演奏を聴いていると、あらためてティーレマンが次代を担う独墺系指揮者として将来を嘱望されている理由がよく理解できるところだ。
独墺系指揮者ならではの堅固な造型の下、重厚にして壮麗な演奏を行っているところであり、オーケストラと合唱とのバランスも絶妙。
これはオペラ指揮者を軸足とする独墺系指揮者の伝統を受け継ぐティーレマンならではの至芸であろう。
独唱陣はいずれも素晴らしい歌唱を披露しており、ティーレマンの確かな統率の下、ミュンヘン・フィルやバイエルン放送合唱団も最高のパフォーマンスを示している。
録音は、ライヴ録音であるにもかかわらず、従来盤でも十分に満足できる音質を誇っていたが、今般のSHM−CD化によってさらに鮮明さを増すとともに、音場が幅広くなった。
現代を代表するモーツァルトのレクイエムの名演を、SHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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